日本企業に「経営総務がない」理由

【第2回】2016年11月1日公開(2019年4月12日更新)
ダイヤモンド・オンライン編集部

岡田 日本では、総務という仕事に対してのプロイズムというのがあまり認知されていません。業務内容が「雑用」と認識されていることのほうが多いかもしれませんね。

アメリカやヨーロッパ企業では「総務」という言い方ではなく「ファシリティ・マネジメント」とか「コーポレート・リアルエステート・プロフェッショナル」といった言い方で、プロフェッショナルの仕事として認識されています。そうした人たちが、私が行なったようなオフィス移転や働き方改革を推進し、経営の戦略的な部分に貢献しているときちんと認識されています。この差は大きいと思います。

総務の「C職」とは?

――確かに、総務のプロイズムというのは、今の日本企業ではなかなか見えにくいですね。

 最近では、人事の「C職」として「CHRO」のようなポジションを作る企業が出てきていますが、総務でもいわゆる「C職」が担う経営視点でのビジョンと役目が見えてくると総務部門に対する評価やキャリアの捉えられ方に変化が起こってくるかもしれません。

 CEO、CFO、CTO、CHROなどのC職がありますが、今、総務のC職を考えるとすれば、一体何になるでしょう?

岡田 総務の仕事は多岐にわたり、いわば「萬屋プロ」としての「C職」が求められます。不動産や設備営繕等のファシリティ領域に精通し、そこで働く人のエンゲージメントパワーを高揚させてゆく「場」のプロデューサーとしてのセンスが必要です。また、オフィス投資にかかわる財務的な観点ではCFO(chief financial officer)的な経験も不可欠でしょう。さらに、「場」つくりで欠かせないコミュニケーションデザインの観点では、バーチャル空間設計に必要なシステム・ネットワークナレッジを経営視点で考えられるCIO(chief information officer)の能力も求められます。

 総務の「C職」は、CFO、CIO、CHROそして事業に対する見識をも持つCOOなど、すべての組織の専門領域を概括的に認識、理解した上で、どのように組み合わせると会社の価値を高められるかというのをCEOにサジェスチョンする「CKO」(Chief knowledge officer)というC職が適当ではないかと思います。

 このCKOという職務は、日本ではあまり馴染みがありませんが、米国では大手企業でCKOを置いているところが多くあります。これからの日本の総務が「経営総務」として組織貢献をしていくために、必要かつ目指すべきゴールの一つではないかと思います。

――日本企業の総務が担っている役割は小さいものから大きいものまであまりに広範囲なだけに、キャリアのゴールもいろいろな考え方ができますよね。ただ、総務は「縁の下の力持ち」と表現されることも多いと思うのですが、私はそれはちょっと違うと思っていて。

 サッカーに例えると、フォワードとディフェンス、前方と後方それぞれに役割があって、後方がきっちりしているから前線にフィードができて点に繋がる。前方のフォワードだけが重要なわけではなく、後方からのしっかりした繋ぎがあってこそ多彩な攻撃が可能になるわけです。

 経営の中の総務というのは、サッカーでいうボランチのポジションなんじゃないかと思います。総務からのつなぎがあって、前線部隊が思い切った活動ができる。下で支えるというのではなく、同じフィールド上で役割を果たしていると認識されていくことが、総務のC職、ゴールを考えていくヒントになるような気がしています。この「経営×総務」の企画はそういう視点で総務を見ていきたいと思っているんです。

 今日はありがとうございました。

(撮影/平野晋子 構成/ダイヤモンド・オンライン編集部 山出暁子)

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