なぜ「やる気」が出ないのか?
衰退していく会社の裏側とは

社員をやる気にさせるための「場づくり」を疎かにすると、経営者が気づかないところで、彼らはいつの間にか不満のマグマを溜め込んでいるかもしれない

「最近、業績が芳しくない」「社内のムードが停滞している気がする」

 企業経営者の中には、そんな不安を感じている人も少なくないだろう。特に経済環境が悪いわけでもないのに、会社が変調をきたす大きな原因の1つは、社員のモチベーションの低下にあることが多い。あなたの会社は社員に「やる気」を感じさせる会社だろうか。改めてそのことを考えてみる必要がある。

 今年2月に人材大手のヘイズ・ジャパンが発表した調査によると、日本のビジネスパーソンはアジアの他国のビジネスパーソンと比べて、転職の際に給料よりも「新しいチャレンジ」を重視する傾向が強いことがわかったという。優秀な人材に企業が惜しみなくお金を出す人材獲得競争の時代になっても、仕事で報酬より「やり甲斐」を重視する人が、日本にはまだ多いということだ。

 そうした「やり甲斐」を求めるビジネスパーソンのモチベーションを大きく左右するのが社内の環境だ。やる気が出ない職場で社員の業績は上がらないし、ひいては会社も成長できない。「ちゃんと給料を払っているのだから、社員は文句を言わずに働くべき」と考えている経営者は、要注意である。社員の気持ちに疎いと職場のムードが停滞し、業績の悪化ばかりか、最悪の場合は人材の流出まで招いてしまう。

 さらに、社員の待遇を重視している経営者であっても、「みんな満足して働いているはず」という思い込みは危険だ。今や社員のワークスタイルは多様化しており、同じ会社で働いていても仕事に対する価値観は様々だ。柔軟性に乏しい経営方針や人事制度で会社を切り盛りしているだけでは、すべての社員に「やる気」を持たせるのは難しい。大きな不満が噴出していないのに、何となく社内のムードが停滞していき、いつの間にか業績が振るわなくなっている――。気づきにくいぶん、そうした状況が実は一番怖いのである。

 では、経営者は普段からどんなことに注意すればいいのか。それは、社員にやる気を持たせる「仕組み」を戦略的に考え、淀みなく運用していくことに他ならない。戦略を考えるにあたって、まずは「社員の本音」を知っておくことが必要だ。

 そこでダイヤモンド・オンラインでは、インターネット調査会社・ジーリサーチの協力を得て、全国200人の男女会社員に対して「やる気が出る会社、やる気が出ない会社」に関するアンケート調査を実施した(回答の内訳は男性143人、女性57人)。アンケート結果からは、ふだん企業が知る由もない社員たちの赤裸々な本音が明らかになった。詳しく分析してみよう。