パソコンの使い方がわからない
でも周囲には相談しづらい……。
「同僚や部下がOA機器を普通に使いこなしているのを見ると、パソコンで資料のつくり方がわからないなんて、恥ずかしくて言い出せません。いつも会議の前日に、以前部下だった隣の部署の女性に頼んで、こっそり資料作成を手伝ってもらっています」
こう明かすのは、ある電機メーカーに勤める40代前半の男性だ。男性は営業部門の係長という立場上、社内や取引先でプレゼンを行うことが多い。しかし、ビジネスパーソンが日常的に行なっている「パソコンでの資料づくり」が苦手なため、業務で困ることが多いのだという。
一昔前だったら、「資料なんて部下につくらせればいいじゃないか」という声が聞こえてきそうだ。だが、もはやそうも言っていられない。以前なら、パソコンが苦手な社員は40代にもたくさんいたが、最近では様子が違うという。自分の同僚たちから「使い方がわからない」という声があまり聞こえてこなくなり、皆がそれなりにパソコンを使いこなしているように見えるというのだ。
「自分だけ取り残されているような気分です。数ヵ月前から休日にパソコン教室に通っていますが、1つ1つ機能を覚えても頭の中でそれらがうまくつながらず、仕事でやろうとすると戸惑い、時間がかかってしまいます」(男性)
現代のビジネスパーソンは、パソコンをはじめ、オフィスで様々なOA機器に取り囲まれている。今やPCの1人1台貸与は当たり前。スマホやタブレットを社員に持たせる会社も増えている。だが、この男性が指摘するように、次々と導入される最先端のOA機器に対して、「使い方がよくわからない」「周囲に聞きづらい」といった声が、以前よりも表に出てこなくなった印象はある。たとえば、オフィスへのパソコンの大量導入が始まった1990年代には、デジタル機器に疎い中高年社員を中心に、「使い方」に戸惑う声がそこかしこで聞こえたものだ。
その理由の1つとして、オフィスのハイテク化によって「OA機器を使いこなせて当たり前」という雰囲気が広がり、社員が「わからない」というカミングアウトをしづらくなっていることが考えられる。むろん、社員のリテラシーは一昔前と比べて格段に向上しているはずだが、「隠れハイテク恐怖症」とも言うべき人は、一定割合存在するのかもしれない。今や最先端のOA機器は、ビジネスの成否を左右しかねない重要なサポートツールである。それを使いこなせない社員を見過ごしていると、企業にとって機会ロスにつながるだろう。
そこでダイヤモンド・オンラインは、インターネット調査会社・ジーリサーチの協力を得て、「オフィスのOA機器リテラシーに関するアンケート調査」を実施した。アンケート対象は全国の20歳~60歳のビジネスパーソンで、205人(男性127人、女性78人)の回答を得た。彼らの声を紹介すると共に、企業がとるべき対策を考えよう。