加齢黄斑変性の検査方法は?
網膜を三次元で撮影する検査も
◆眼底検査
網膜の状態を詳細に調べる検査。黄斑やその周囲に出血や新生血管からの滲出がないかを観察する。
◆蛍光眼底造影検査
腕などの静脈から造影剤を注射し、眼底カメラで網膜や黄斑の様子を詳しく調べる検査。毛細血管の鮮明な画像が得られるフルオレセイン蛍光眼底造影と、検出が困難な網膜下の脈絡膜血管病変の評価に適したインドシアニングリーン蛍光眼底造影の2種類がある。肉眼では分かりにくい、新生血管の有無や広がり、活動性の様子なども調べることが可能。
◆眼底三次元画像解析
光干渉断層計(OCT=Optical Coherence Tomographyの略)により、網膜の断層画像を三次元で撮影。網膜の構造を断面的に調べることができるため、網膜の腫れ、むくみ、新生血管の状態を詳細に観察することができる。近年、検査機器の開発が進み、一般の眼科クリニックでも導入が進んでいる。
いずれの治療も早期に始めることが大切
加齢黄斑変性の治療はタイプによって異なる。萎縮型の場合は、現在のところ残念ながら有効な治療法はないと言われている。
「萎縮型では、視細胞の障害を抑える目的として、サプリメントが有効な場合もあります。例えば、ビタミンCやEなどの抗酸化物質、網膜のダメージの修復能力を高めるルテインなどが有効と考えられています。ルテインとは、緑黄色野菜などに多く含まれるカロチノイドという色素の一種。萎縮型の場合は有効な治療法が確立されていませんが、サプリメントを適量摂ることで進行速度を遅くできる可能性も考えられます」(五味教授)
滲出型の場合は、異常な新生血管に対するアプローチで、視力低下を食い止めたり、症状を改善させるいくつかの治療法がある。
薬物治療では、新生血管を成長させる体内物質の働きを抑えることで新生血管を消退させる、VEGF阻害剤(抗血管新生薬)を硝子体内に注射する方法が一般的だ。加齢黄斑変性を完治させる治療ではないものの、視力が維持されたり、視力が改善するケースもあるという。
光に反応する特殊な薬剤を注射し、それが集積した新生血管にレーザーを照射して破壊する「光線力学療法」もある。
「いずれの治療や対策も、早期に始めることが不可欠。一度変性した黄斑をすべて元通りにするという治療法はまだありません。加齢黄斑変性は、iPS細胞を用いた世界初の臨床手術が行われた疾患として注目が高まりましたが、この治療法を誰もが受けられるようになるには、もう少し時間がかかります。現時点では、視力の低下がわずかなうちに、できるだけ早く治療を開始することが重要です」(五味教授)