加齢黄斑変性のリスクファクターと予防策は?
加齢に伴い誰もが成り得る加齢黄斑変性だが、リスクファクターを知ることで予防や早期発見にもつなげることが可能だ。
その1.喫煙
加齢黄斑変性のリスクファクターに関する調査によると、喫煙している人の危険率は、喫煙していない人と比較して4倍近いという結果が出ているという※2。喫煙による酸化ストレスは、黄斑へも悪影響となることが考えられる。若い頃から喫煙を続けている人は、加齢黄斑変性のリスクが高まっている可能性があることを肝に命じよう。
その2.太陽光
太陽光などの強い光を浴び続けると、網膜に悪影響を及ぼし黄斑の変性につながる可能性がある。日差しが強くなる季節は、女性は日焼け予防のために日傘や帽子などを使うため、自然と目も守られていることが多い。しかし男性は日焼けを気にせず日差しを浴びる人も多く、知らず知らずに目を傷めている場合もある。「日傘や帽子を使いたくない男性は、サングラスを活用することをお勧めします。適度な濃さで明るさと紫外線をカットするものを選んでください」(五味教授)
その3.欧米型の食事
肥満や高血圧、動脈硬化などの生活習慣病は、網膜の血流も悪くして黄斑の変性にもつながりやすい。肉類や脂っこいメニューが多い欧米型の食生活は、目の健康を妨げる要因にもなりかねない。「ビタミンAやC、E、ルティン、亜鉛などの抗酸化作用のある栄養素には、加齢黄斑変性の予防効果が期待できます。これらを含む緑黄色野菜をたっぷりと摂るには、欧米型の食事よりも昔ながらの日本の献立がお勧めです」(五味教授)
加齢黄斑変性には遺伝的要素があることも近年明らかになっており、両親に疾患がある場合、リスクは高まると言われている。なおかつ、自身が喫煙者で野菜嫌いなどの条件がそろっている場合、特に注意が必要だ。
「一度失われた視力は戻らないため、加齢黄斑変性に限らず黄斑の疾患は早期発見が鍵となります。痛みを伴うような疾患ではないため、特に忙しい働き盛りの世代は、視力に違和感がある程度では病院を受診しないかもしれません。しかし、視力を失ってからでは遅いのです。大切な目を守るため、生活習慣の見直しや自己チェックを行い、40歳を過ぎたら定期的に健診を受けることを強くお勧めします」(五味教授)
※2 引用元:安田美穂、あたらしい眼科 26 (1) 25-30, 2009