境界のない体験こそが
世界を変えてゆく

 チームラボは今、PACE LONDON(英国・ロンドン)で個展「teamLab: Transcending Boundaries」を開催している。全8作品を3つの空間で展示する大規模な展覧会だ。

 最も大きな展示室では、デジタルによってリアルタイムに描かれた滝が壁から床へと流れ、来場者の足元で割れながら空間に広がる。蝶の群れがそれぞれの作品を横断しながら飛び交い、5つの展示物の境界を曖昧にしてゆく。第2の展示室では、コンピュータ上で三次元的に無数の水の粒子の相互作用を計算し、波の表層部分の粒子の挙動を線の集合で描く。チームラボが考える「超主観空間」を平面化した映像作品である。そして第3の展示室では、真っ暗な何もない展示室に鑑賞者が入って立ち止まると、その身体に花が咲き始め、身体を動かすとその花は一斉に散ってゆく。

 展覧会のコンセプトは、そのタイトルが示す通り、境界のない体験を実現する試みである。作品はそれぞれの枠を超えて他の作品と繋がってゆくだけでなく、展示空間との境界が曖昧になり、インタラクティブな要素によって鑑賞者をも作品に取り込んでゆく。

 「いま世界は、境界をつくる方にどんどん揺り戻しが来ている。言語や論理では、価値観は変わらない。アートによって、境界のない世界に身体ごと浸って“気持ちいい”と思う体験こそが重要で、その行為が少しずつ世界を変えていけると思っている。マニアックな展覧会だが、国境や人種に関係なく、訪れる鑑賞者からは高い評価をいただいている」。オープン2日目に、3月11日の会期終了まで約2ヵ月間のチケットが、完売したという。

 その猪子寿之が手にする「Hennessy X.O」もまた、それを味わう“鑑賞者”によって直感的に体験される、心地よい豊穣な世界がある。5大陸140カ国で楽しまれるコニャックは、いわば国境を越え、境界のない世界に偏在するアートなのだ。

 「これから、お酒はヘネシーしか飲まないことにしよう」と、悪戯っぽく笑う猪子寿之。彼なら「Hennessy X.O」をアートとしてどう表現するのか、そんな興味が掻き立てられた。

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MHD モエ ヘネシー ディアジオ株式会社
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