家賃を下げるだけの
対策がオーナーを圧迫

 こうした古い物件を、不動産投資にそれほど詳しくないビジネスパーソンが「退職後の収入のために」購入しているケースも多く、なかには賃料を高く設定し過ぎたために、現住人の退去後に次の入居者が付かず、しぶしぶ賃料を下げざるを得ないなど、思ったように収益が上げられず、頭を抱える人も出ているようだ。 

「家賃を下げる」だけでは、根本的な空室対策にはならない(写真はソリッドの管理物件とは関係ありません)Pixta_1956948

  それどころか、物件購入のために借り入れたローンの返済にまで支障が出ているケースも珍しくないという。こうなると、次の入居者を得るためのリノベーションどころの話ではない。

「契約中の賃貸管理会社に相談しても『家賃を下げましょう』以外の返事を得られず、サポートに不満を感じて当社にご相談される方も少なくありません」(峯﨑常務)

 賃貸物件管理会社は、不動産経営のプロであるはずだ。「賃料収入の継続につながる新たな発想や、従来とは異なる新しい視点からの解決策を提案すべき」と峯崎常務は指摘する。

 一般的に、賃料は新築時が最も高く、3回目の契約更新(6年程度)頃から下降し、それが10~15年程度続く。以降は、築年数を経るに従い徐々に下がっていく。にもかかわらず、賃料収入の利回りやローンの返済計画は、新築時の高い賃料でプランニングされていることが多く、これがオーナーを圧迫する結果を招くのだ。

 よって、空室を作らないためには、「経年に伴い賃料は下がる」ことを前提に、物件価値の落ちるスピードをできるだけスローダウンし、新築時の賃料に近い金額をいかに長く保つかが、本質的な問題解決につながる。

 それには、当然のことながら、建物の外観や内装をきれいに保ち、部屋を探す人に『ここに住みたい』と思ってもらえる必要があるわけで、管理会社のなかには、大がかりなリノベーションを実施することを勧めるところもある。

 とはいえ、ビジネスパーソンなどの兼業オーナーは、ほぼ間違いなく物件に投入できる資金が限られているのが一般的だ。