九州で太陽光発電事業を展開するデンケンは、参入当初からインリー・グリーンエナジー製品を採用。両社の信頼関係はどんな経緯で築かれ、今後は何を目指すのか?

検査ノウハウを基に、メガソーラーの企画、設計、建設、運営管理をワンストップで行う事業を九州を中心に展開するデンケン。本社にあるインリー製モジュールを設置した太陽光発電所

 温泉資源に恵まれた大分県は地熱発電の供給量で国内随一だが、国東半島以南から中部の東側地域は日照時間も比較的長く、太陽光発電所もあちらこちらに設置されている。

 かの地でも高い評価を得ているのが、世界的なシェアを握るインリー・グリーンエナジー(以下、インリー)製の太陽電池モジュールだ。そして、その日本法人であるインリー・グリーンエナジージャパン(以下、インリージャパン)の真摯なサポート体制が厚い信頼を獲得してきた。

自社の検査装置で品質判定し、
インリーの製品を選択

デンケン
常務取締役 山野健治

「検査装置でシビアに調べた結果、インリーが最もコスパに優れていました。購入した約14万4000枚のモジュールのうち、交換したのは10枚未満です」

「当社は27カ所に総発電出力が33メガワットに達するメガソーラーを建設してきましたが、それらに採用している太陽電池モジュールの9割はインリー製です」

 こう語るのは、大分県で電気電子応用機器の事業を展開する、デンケンのソーラー事業部の山野健治常務取締役だ。もともと同社は半導体検査装置などを開発・製造・販売してきたが、2012年11月から太陽光事業に進出。現在では、メガソーラーのEPC(設計・調達・建設の一括請負)とIPP(電力の卸売り)が主力事業の一角となっている。では、インリー製の太陽電池モジュールを選んだ理由は何だったのだろうか?

 山野氏は答える。

「当社は太陽電池モジュールの検査装置も開発・製造しており、メーカー選定では自社検査装置を用いて各社の太陽電池モジュールをテストしました。例えば、当社のマイクロクラック検査装置は、太陽電池セル上に生じている微細なクラック(亀裂)をレントゲン写真のように可視化する装置です。こうした検査装置でシビアに調べた結果、当社の品質条件をクリアし最もコストパフォーマンスに優れていると判定されたのがインリーの製品でした」

 同社はいわば、太陽電池モジュールの品質に関して“目利き”のプロだったわけだ。

 デンケンは太陽電池の検査装置で培ったノウハウを生かし、発電量のモニタリングや太陽電池・パワーコンディショナーなどの故障を遠隔監視するシステムまで自社で構築している。こうしてデンケンはソーラー事業者としても広く知られるようになったが、その第一歩は本社工場内に自社投資で建設した太陽光発電所だった。インリージャパンとの交流もまさにそこから始まった。