こんな建て方をする業者に
トラブルが起きやすい

 こうしたリスクを回避するために、誰もが真っ先に考えるのは、大手ハウスメーカーが分譲する物件の購入だろう。

 しかし、大手ハウスメーカーの建売住宅は、広い土地に、標準仕様で建てられたものがほとんどで、住み心地の点で心配はないが、値段は高めで、都心部での取り扱い物件は少ない。

 建物を建てることが主な仕事であるハウスメーカーと、土地を売りたい不動産業者が低価格住宅を得意とするパワービルダーと組んだ場合は、おのずと家づくりに違いが出ることも知っておきたい。

 特に地価が高い都心にありがちなのが、「売れる価格」を設定してから「土地を分割」して狭小住宅を建てる結果の、底地が小さく背が高く、隣地と近接した家だ。

 民法上は、隣家との敷地境界線から50cm以上離して建てるように定められているが、それでも狭い敷地に無理に建築すると、開き窓を開けたとき境界線を飛び出てしまったり、外壁の塗り替えなどメンテナンスに十分な作業スペースを確保できなかったりするケースもある。

 もちろん、低価格の建売住宅すべてがこうした危険をはらんでいるわけではない。まずは施工業者に同様の物件をどれだけ手掛けた実績があるかを調べたい。ノウハウの蓄積があれば、狭くても使い勝手がよい設計や、トラブル対策を事前に講じることができる。

 前記した1階部分が半地下の3階建て住宅であれば、排水や防水対策は最重要視すべきことの一つ。実績の少ない業者だとつい、通常仕様で建てて、自然災害に対し不備のある物件ができてしまう。

 一方、右上の写真で示した施工の不具合や見落としなどの人為的ミスは、大手ハウスメーカーでも起こりうるものだ。特に床下や屋根裏など隠れた箇所のミスは、素人が気づくのは非常に難しい。