昨今大きな話題となっているAI(Artificial Intelligence:人工知能)だが、AIワークロード処理の90%以上を、インテル製品を搭載したソリューションが担っているといわれる。そのインテルが4月6日に「インテル AI Day」を開催し、AI戦略を発表。同社の動向はAIの今後を左右するだけに多くの関係者が集まった。同社のAI戦略の責任者であるバリー・デイビス氏にあらためて話を聞いた。

気づかなかった課題を
AIが教えてくれる

 現在、世の中にはデータが溢れており、その流れは加速する一方だ。一人が1日に生み出すデータ量は2020年には1.5ギガになるともいわれ、そして実用化に向けた動きが加速している自動運転では1台につき1日4テラバイトのデータを生み出すことになる。こうしたデータを効率的に処理して活用できれば、大きなビジネスチャンスにもなる。

 データが爆発的に増大する中で注目されているのが、AI技術である。膨大なデータを処理し、価値に結びつけるには人間の能力では限界がある。AIが自ら学習し、大量のデータから最適なモデルを構築して処理することで、莫大なデータ量に自動的に対応できるようになる。その結果、これまで考えられなかったことが実現できる。

 AIがどう進化していくのかを考える上で重要なカギを握っているのが、半導体メーカーであるインテルである。現在、AIのワークロードの90%以上がインテル製品を搭載したサーバーやソリューション上で稼働しているという。同社でAI戦略をリードするバリー・デイビス氏は「AIはデジタル革命を上回る大きな波」だとそのインパクトの大きさを指摘する。

Intel Corporation
データセンター事業本部
アクセラレーター・ワークロード事業開発本部
本部長
バリー・デイビス氏

 実際にAIはどんな分野にどんな変化をもたらすのだろうか。「AIが世界にもたらすインパクトを理解するキーワードは四つあります。『強化』『推進』『拡張』そして『自動化』です」とデイビス氏は語る。

 まず挙げられるのが、大規模なソリューションの“強化”だ。大量のデータを効率よく処理することで、見えなかったものが見えてくる。病気の治療などがその代表例だろう。また、科学的な発見の“推進”という面でも効果は大きい。深海や宇宙の探索、素粒子物理学の課題の解決、脳の研究など、大きな進化が望める。

 さらに人間の能力の“拡張”という役割も期待される。個人の活動をサポートしたり、経営者の意思決定を支援する。犯罪を予知して防止するということにも使われる。そして四つ目がリスクを伴う作業の“自動化”だ。工場では人間の代わりにロボットが単純作業を行い、車の運転も自動化される。

「AIが進化すると、自分では見つけられなかった課題まで、AIが見つけてくれるようになります。従来は人がコンピュータに課題を与えるというのがデータ活用の姿でしたが、AIでは課題すらコンピュータが見つけてくれるのです」とデイビス氏はAIの未来の姿を語る。AIが業種業態を超えてビジネスに大きな変化をもたらすことは間違いない。