次世代AIプラットフォームで
進化を後押しするインテル
AIは実際にどこまで進化しているのだろうか。「将来に向けて大きな可能性を持つAIですが、現状はまだ黎明期です。ハードウエア面でもソフトウエア面でも、乗り越えなければいけない課題を抱えています」とデイビス氏は現状を説明する。
例えば、自動運転の場合、自動車に取り付けられたセンサーからのデータや気象状況、道路状況など外部からの大量のデータがリアルタイムに流れ込んでくる。前述したように、1台で1日4テラバイトのデータ量になると予測されている。
「この大量のデータをリアルタイムに処理するには、データを高速で処理する技術やデータ自体を管理する技術、高速でクラウドに送信する技術などが求められます。さらにデータから正しい判断を引き出すための包括的なAI機能があって初めて、安全に自動車を走らせることができるのです」
同社はこうした課題を解決するためにさまざまな取り組みを展開している。自らが開発する半導体を進化させるとともに、ベンチャー企業に投資をしたり、他社との共同開発を推進している。今回のインテル AI Dayでは、東大発ベンチャーとして世界的に注目されるPreferred Networksと協業して、AIを実装するために欠かせないコア技術である深層学習向けのフレームワーク「Chainer」のインテル製品向けの開発に取り組むことも発表している。
デイビス氏は「現在のAIが抱える課題を解決するには、多くの企業によるエコシステムが必要です。インテルは次世代AIプラットフォームを構築できる唯一の会社です。そのための多額な投資を続けて、AIが進化する媒介の役割を果たそうとしているのです」と同社の立ち位置を語る。
それを物語るのが今年1月の「CES 2017」で発表した自動運転開発プラットフォーム「Intel GO」だ。自動運転の実現には、自動車内で発生するデータをその場で処理するローカル・インテリジェンスと、その他の多種多様なデータと連携させてクラウド上で処理するグローバル・インテリジェンスが必要になる。Intel GOでは、自動車、ネットワーク、クラウド、それぞれの開発プラットフォームが提供され、自動運転実現の後押しをしていく。