数が減った「本好き」を獲得したのはアマゾン
対抗策として老舗書店から「切り札」が登場
その一方で、こうして数が限られてきたパイのかなりの部分を一気に獲得していったのがアマゾンだ。同社のサイトで検索をかければ、たいていの本はすぐに見つかる。
従来、暇つぶしを兼ねて書店で目当ての本を探し歩くのに充てられていた時間は、もっぱらスマートフォンの画面を眺める時間に変わってしまったのかもしれない。
早嶋 茂 株式会社旭屋書店 代表取締役社長。ノンフィクション書籍が好きで、最近読んだおすすめは山崎正和著『舞台をまわす、舞台がまわる-山崎正和オーラルヒストリー』(中央公論新社)。趣味は読書と山歩き。
その結果、規模の小さな書店は廃業を余儀なくされていった。本の取次大手・日販の「出版物販売額の実態」(2016年版)によれば、06年度には全国に1万4000店を超える書店が存在していたが、15年度には1万855店まで急減しているとのことだ。
こうした情勢に一矢報いるべく、1946年に大阪で創業した旭屋書店が新たなアプローチとして、「本TUBE」というプラットフォームを通じた情報発信を始めた。同社の早嶋茂代表取締役社長はこう語る。
「今や、ネットでほとんどのものが時間帯を問わず買える時代。そういった便利さを知ってしまった以上、そこから完全に抜け出すことはできないでしょう。私たちのようにリアルな店舗を構える書店がアマゾンと“競存”していくためにも、本を好きな人が集まってくるプラットフォームが必要だと考えました。つまり、それが本TUBEなのです」
旭屋書店が制作した「本TUBE」を紹介する動画