「静かな書店」はもう古い!
日本中の書店と連携してアマゾンと“競存”
こうした今までになかったアプローチに対して、書店のスタッフはどのような反応を示しているのだろうか? 同社書店営業部の小笠原功治東日本統括長はこう答える。
「まったく新たな取り組みですから、最初は売り場のスタッフたちも戸惑い気味で、動画の撮影もちょっと照れくさそうでした。しかし、いつもどおりのPOPだけでは見慣れた光景ですが、動画が流れていると、『おや?』と思って立ち止まるお客様が少なくありません。その効果を実感したのか、現場からもどんどんアイディアが出てくるようになりましたし、売り場の活性化につながっていることを実感しています」
現在、本TUBEの総コンテンツ数は2000超に達しており、UU(訪問者)数は約15万人となっている。
「単に、旭屋書店における販促のためのツールとして、本TUBEを立ち上げたわけではありません。他の書店や出版社、著者、そして読者のみなさんのための共通インフラとして、幅広く活用していただきたい。そして、オールジャパンとして連携することで、アマゾンと“競存”していきたいと考えています」(早嶋代表取締役社長)
旭屋書店では、今後もこうした展開を全国的に拡大していく方針だという。
休日はもちろん、仕事で移動中の空き時間や終業後など、ちょっとした暇を見つけて書店に立ち寄れば、本との思いがけない出合いが待っている。ネット上なら、リアルの書店以上にアクセスが容易であるし、動画なら受け身で情報を次々と得られるので手間もかからないだろう。旭屋書店の草の根的な取り組みが業界全体に連鎖していくことを強く期待したい。
(ライター 大西洋平)