売り場とWEBの連携で
「既刊本4万部の増刷」を達成
旭屋書店の各店舗では、本TUBEによるネットでの展開に連携し、リアル書店でも来店者への訴求活動を繰り広げている。店舗の目立つ場所にディスプレイを設置して本TUBEの動画コンテンツを放映し、その内容に連動したPOPで購買欲を刺激しているのだ。
加えて、季節ごとに1回の頻度で様々なフェアを開催しているという。たとえば、6月1日~7月2日までのキャンペーンとして「あなたはどっち!?」フェアを実施している。
「猫VS犬」や「非リアVSリア充」、「ダイエットVSグルメ」など、対極的なテーマを掲げて、それぞれに関連する書籍を並べ、どちらの売上が勝るのかを競うという趣旨の企画である。そして、その経過は毎週書店内などで公表してフェアを盛り上げていく。
「また、今回で4回目の開催となるのが出版社対抗選手権で、各社にイチ押しの既刊本を挙げてもらい、その売上の推移を毎週公表し、大いに競い合ってもらいます。なかなか日の目が当たらなくなった既刊本の活性化を図るのがその狙いです。過去に実施した文庫版の既刊本選手権では、光文社の『長い長い殺人』(宮部みゆき著)が4万部の増刷となりました。これまで3回のフェアでは、トーハンの売上数値を毎回前年比で2%上回る実績を上げています」(早嶋代表取締役社長)
目立つ展示になっているならまだしも、本棚に1冊だけ差し込まれている本は、なかなか人の目には留まらない。著名な作家の本であっても、発刊から時間が経過すれば、同じような運命を辿りがちである。
しかしながら、そういった本の中にも運命の1冊が潜んでいる。昔と比べて書店から客足が遠のいているとなれば、そういった本と出合うチャンスがいっそう少なくなっているわけだ。その意味でも既刊本のフェアは出版社のみならず、読者にとっても非常に歓迎すべき取り組みだと言えよう。