認知症診断後にすぐ行けるカフェ

アムステルダム市内の「オーデンセ・カフェ」は、この集合住宅の1階の奥にあった

 認知症の本人が集う場として、オランダでもう一つの運動が起きている。「オーデンセ・ハウス」である。オーデンセは、アンデルセンデンが生まれたデンマークの都市。その都市から始まった活動と言われる。

 アムステルダムの西部にある「オーデンセ・ハウス」を6月23日の金曜日に訪ねた。4階建ての集合住宅の一階。以前は事務所だった。夕方の4時頃に着いたため、その日の利用者はもう帰宅していたが、常勤のスタッフの1人、シモーヌ・アーリンクさんが活動内容を教えてくれた。

 認知症カフェとの違いを尋ねると、開口一番「月一回の開催でなく、私たちは平日の毎日開いています」と胸を張る。確かに、ここは常設の場で、常勤のスタッフが3人いる。

 7年前に開設し、現在の利用者は25人。うち認知症の本人は20人で、その支援者が5人。「認知症と診断された人が、その直後に通える場として始めました。ふさわしい行き場がなかったのです。デイサービスは中重度者が通って来るので、馴染めませんから」。

 確かに、認知症の診断直後のケア態勢はどこの国でも大きな課題となっている。本人はその衝撃を抱えて、自宅に引きこもりがちになる。周りの家族も、初めての経験でどのようなところへ相談に行ったらよいのか戸惑う。

 介護保険制度が定着している日本でも、認知症と診断を受けた医療機関から介護保険のサービスへ簡単には繋がらない。医療者は認知症の確定診断はできるが、日常的なケアサービスを提案できない。

 介護保険のケアマネジャーにたどり着き、適切なケアサービスを受けられるようになるまでに時間がかかる。「空白の期間」とも呼ばれる。「オーデンセ・ハウス」は、そのような状況にある認知症の人たちを受け入れた。初期症状の人が主役だから、特定の活動を押し付けない。

 「ここで何をするかは利用者に決めてもらいます」「音楽を聴いたり、絵を描いたり、歴史について語り合ったり。いろんなことを自由に選べます」

 なかには、コーヒーを飲んだだけで満足して帰る人もいる。昼食は利用者と一緒に買い物をして、調理も一緒に取り組む。

 こうした融通無碍の活動を支えているのは、25人のボランティアというのも面白い。その多くは大学生である。

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利用者とスタッフを区分けしないで過ごす

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