実は、今回の視察の初日、6月19日にライデンで訪ねた地元の大手NPO「ラディウス」から、「この夏に、うちでオーデンセ・ハウスを開設する」と聞いた。
「認知症の初期の人の対応、それに認知症になりそうな人を対象にした集いの場としてとてもいいと判断した。絵を描いたり、ダンスをしたり。自由に得意なことをして過ごす。これが認知症の人には最もいい接し方だと思う」と担当者は熱心に話してくれた。
「オーデンセ・ハウス」は初耳だった。そこでアムステルダムについてから急遽、開設している現場を訪ねたというわけだ。
キーワードは「ノーマルライフ」
「アルツハイマーカフェ」や「オーデンセ・カフェ」が広がる背景には、認知症への共有意識がきちんと備わっているからと思われる。それは認知症の人の入所施設を訪ねた時によく理解できた。
アルツハイマーカフェの舞台を提供していた「ドゥ・ホーフ・ホップ」で強調していたのは「普段の生活を続けること」であった。
「入居が決まると、本人や家族、友人などと会って、何回も話を聞きます。どういうライフスタイルを好む人なのか、何を望んでいるのかを徹底的に調べます。というのも、この施設は単に利用者が生き続けるためにあるのではなく、楽しい人生を送ってもらうためにあるのですから。そのために暮らしぶりを知らなければなりません」
だから、朝早く起きたい人やゆっくり寝ていたい人がいていい。今までの生活習慣をできるだけ続けられるように心がける。
認知症の人への接し方がとてもよく分かっている。
運営している事業者は「オム・リング」。オランダ国内で25ヵ所の施設を運営していると言う。「オム(om)」とは、「抱きかかえる」「腕を回す」という意味、リングは輪。認知症の人への対応そのものが社名になっている。
もう一つ視察した、やはり全入居者が認知症という「ホフウエイ(Hogeway ) 」では、「ノーマルライフ」がキーワードだった。「ドゥ・ホーフ・ホップ」で強調していた言葉と同じ「あるがままの生活」である。
「ノーマルライフ」を続けたい認知症の本人にとって、「アルツハイマーカフェ」や「オーデンセ・カフェ」が重要な手掛かりとなっている。
(福祉ジャーナリスト 浅川澄一)



