介護者たちの
精神的負担が軽くなる場所
高齢者介護の最も大きな課題は認知症への対応だろう。施設入所の理由として、第一番に上がるのは認知症のため家族との同居が難しくなったからだ。できるだけ長く自宅での生活を続けるために、「認知症カフェ」の活用が浮上している。
認知症に関わるいろいろな悩み事の相談を受けることができるスタッフがいるカフェである。お茶を飲みながらリラックスして、という点が従来の福祉事業と違う。だからカフェなのだ。
認知症の家族介護者だけでなく、認知症の本人が同行できるところも増えてきた。介護保険制度にはのらないため、運営費の確保が難しい中、志の高い地域のNPO法人が担い手として登場している。
医師などから受ける専門的な写真説明では得られない日々の生活の中での適切な言葉使いや仕草などを学べる。介護者がお互いの体験を披露することで介護のヒントをつかめる。それによって認知症の家族介護者たちの精神的負担が軽くなる。
国も1月に、新たな認知症の国家戦略「新オレンジプラン」を発表し、認知症カフェの開設に旗を振り出した。認知症者ができるだけ地域活動に参加し、社会的交流を続ければ、介護保険を利用する時期を遅れせることができる、という思惑からだ。財源難に陥っている介護保険制度を手助けすることになる。