ワンストップで
世界中と商談できる

 香港は日本から飛行機で約4時間と近く、時差はわずか1時間なので、フライトによる疲れや時差ボケの心配もない。欧米に行くより航空運賃は安く、出張の時間とコストを抑えられるのは企業にとって大きな魅力だ。

 しかも香港の展示会・見本市には、中国や東南アジアはもちろん、欧米、オセアニアなど世界中の国々から出展者、バイヤーが訪れる。

フランス、チリ、オーストラリアなど世界30ヵ国680社が出展した昨年の「香港インターナショナル・ワイン&スピリッツ・フェア」。原産国に出向かなくても、香港で世界中の最新のワインを仕入れることができる。今年は11月3~5日に開催

 他の国では国際展示会といっても出展者やバイヤーの大半は国内から参加することが多いが、香港は参加者の6割以上が海外企業だ。つまり香港の展示会・見本市に参加すれば、ワンストップで世界中の企業と商談ができるのである。

 会場はもちろん、街中でもほとんどの場所で英語が使えるのも安心。ちなみに香港は、ビジネスインフラ、金融、法律、低率でシンプルな税制などが非常によく整備されているため、国際ビジネスの拠点として、香港にオフィスを設ける日本企業も多い。

 香港進出を支援するサービスも充実している。たとえばKCSという香港の会計事務所は、日系企業の会社設立や会計・財務報告、貿易実務などのサービスを日本語で提供している。

 香港の展示会・見本市には、13億人の人口を抱える巨大市場・中国や成長著しい東南アジアからも多数のバイヤーが訪れる。これは出展者にとって大きな魅力だろう。

 バイヤーにとっては、商談相手の工場を直接見学できるチャンスがあるのもメリットだ。香港に隣接し、中国全体の輸出高の約27%を占める珠江デルタ地域には香港資本だけで6万もの工場がある。香港から40分から2時間の距離なので、展示会での商談後、そのまま工場視察や買い付けに行くことも可能だ。

■食品・飲料 出展者コメント
日本貿易振興機構(ジェトロ) 福岡貿易情報センター所長
荒畑 稔氏


九州・沖縄の食品を海外のバイヤーに紹介するため、九州、沖縄のジェトロ事務所が地元企業に呼びかけて、香港で開催された国際食品見本市「フード・エキス ポ」に九州パビリオンとして出展しました。計10社が参加し、それぞれ生鮮果実、野菜、水産物、酒類・飲料、お菓子、調味料、健康食品などを出品しまし た。3日間の会期で、合計500件以上の商談が行われ、成約につながったものもありますし、会期後も商談を継続しているケースもあります。ジェトロでは、 事前にバイヤーへの情報提供も行い、来場を促し商談機会を増やすようにしました。最終日には、B to Bのエリアでも消費者向けの販売が行われ、大変盛況でした。会期中、展示会主催者の対応もよく、照明の問題があった際にも迅速に対応していただきました。 現在、海外市場では日本食品に対する評価が厳しい状況ではありますが、ジェトロは、海外市場の開拓を目指す日本企業を、なおいっそう支援してまいります。