蓄積した情報を活用できるクラウドERPで
ワークスタイル変革を実現

 クラウドで提供されるOracle ERP Cloudは、外出先や出張先でも利用することができる。これまでオフィスでの業務に縛られてきた同社のワークスタイルを変革していくうえでも、強力な推進基盤となるはずだ。松田氏は「スマートフォンやタブレットでも利用できるよう、モバイルワーク環境の整備も検討していきたい」と話す。

 こうしたさまざまな改革が可能となるのは、Oracle ERP Cloudに経営情報をリアルタイムに活用できるBIツールが統合されているからだと松田氏は強調する。

「企業の経営層の中には、まだERPを業務効率化のためのツールだと考えている方がいらっしゃるかもしれません。しかし、ERPの役割は、すでにその次の段階に進んでいます。統合/蓄積した情報をリアルタイムに俯瞰しながら分析し、状況把握や意思決定を迅速化することが、今日のERPに求められる役割なのです」(松田氏)

 業務効率化のためにERP製品を自社業務に合わせて子細にカスタマイズすることも避けるべきだという。それによって導入の期間/コストがかさみ、その後の保守やバージョンアップが難しくなるからだ。業務をできるだけシステムに合わせながら導入や活用、バージョンアップを迅速に進めることが、経営スピードを追求する企業に最大の恩恵をもたらす。

 さらに松田氏は、セキュリティを懸念し、クラウドの利用を敬遠する向きにも異を唱える。

「セキュリティの観点から、オンプレミスにシステムを置くのが最善だという声をよく聞きます。特に経営情報の集まるERPのような基幹システムについては、そう考える企業がまだ多いでしょう。しかし、今日のクラウドサービスはオラクルなどの大手ベンダーがさまざまな業界のセキュリティ規格に準拠しながら提供しています。同じ環境を一般企業が自前で作るのは困難でしょうし、もしできたとしても莫大なコストがかかります。もはやクラウドのほうがセキュアだと言える時代に入ったのです」(松田氏)

 研光通商は今後、本社での活用を進めるのと併せて海外拠点や子会社へもOracle ERP Cloudを順次導入し、グローバルでの決算および意思決定の迅速化も図っていく考えだ。

(取材・文/名須川竜太 撮影/宇佐見利明)

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