目的に応じた指標の
設定が必要に

佐々木 電車の中でスマートフォンを操作する光景をよく見かけるようになりました。消費者のメディアへの接し方は急速に変わってきています。オンライン広告の世界も変化への対応を迫られていますね。

友澤大輔
楽天株式会社
グローバルマーケティング室
兼 広告BU事業企画室 室長
ベネッセコーポレーションにて新規ビジネスの立ち上げ後、IBMBCS、ニフティ、リクルートなどでCRM 戦略策定やコンサルティング業務に従事した後、現職。一貫して、各種データを分析して見込み顧客を発掘し、育成していくというマーケティングコミュニケーション活動に携わる。日本マーケティング・サイエンス学会に所属。

友澤 マーケッターとしては対応に苦慮することもあります。たとえば、オンラインの世界ではデータが取れ過ぎて、振り回されることもあります。バナー広告は1回表示されるごとの広告効果の数値は必ずしも明確ではありませんが、効果がないわけではありません。でもデータで可視化されないと認められない、みたいなところがあって、新しい指標の必要性を痛感しました。

佐々木 確かにバナーなどのディスプレイ広告の効果指標は難しいですね。1000回バナー広告が露出されて1回しかクリックされなくても、残りの999回はムダになっているわけではありません。消費者に印象が残っていることも十分あるのです。グーグルではマウスオーバー率や時間帯など他の指標でその効果を説明する技術にも力を入れていきます。

友澤 広告主、広告会社、メディアで納得する指標を作らないと、うまく進化していかないかもしれません。広告にもいろいろな目的があって、ダイレクトに売り上げを上げるのか、ブランドイメージをつくるのか、などの目的に応じて指標を整理することが求められています。目的、指標、そしてクリエーティブを連動させて、ユーザーの変化に合わせてリアルタイムにキャンペーンを変えていく必要もあります。これはテクノロジーを活用して合理的に進めていくしかないと思います。

オーディエンス
ターゲティングという考え方

佐々木 大きく変わったのが、メディアを選ぶのではなく、オーディエンス(広告メッセージの受け手)を選ぶ、という発想の転換です。オーディエンスデータとターゲティング技術を組み合わせることで、コミュニケーションしたい相手と適切な状況で接点を持つことができるわけですから、合理的ですね。