4年連続志願者トップ近畿大3学部同時新設の東洋大

近畿大の東大阪キャンパスに今春オープン、「文理の垣根を越えて社会の諸問題を解決に導くための学術拠点」アカデミックシアター(大阪府東大阪市)

 志願者数トップは4年連続で近畿大だ。志願者数は14万6896人。近畿大は07年には志願者ランキングで9位、志願者数も6万人台だったから、この10年で2倍以上に伸びたことになる。昨年に比べても、志願者は2万6981人、22.5%も増えている。今年、もっとも志願者数が増えた大学だ。これで5年連続の志願者増となる。

 人気の理由は改革に積極的なことだろう。10年に総合社会学部、11年に日本初の建築学部、16年に国際学部を新設している。国際学部は語学教育で評価の高いベルリッツとタイアップして設置し、開設初年度から人気を集めた。さらに、20年の完成を目指してメインキャンパスの整備も進んでいる。

 今年は5つの建物からなるアカデミックシアターが竣工した。ここには2400席用意される24時間オープンの自習室、蔵書の3割がマンガという図書館などもある。今の高校生はあまり自宅では勉強しない。学校や塾などの自習室や教室などで勉強することが多いため、大学に入ってから学びのスタイルを変えさせないようにとの考えから、大きな自習室を新設した。

 それだけではなく、研究力の高さも注目される。クロマグロの完全養殖、ウナギ味のナマズの開発など、水産研究所の研究成果を、受験生や保護者に分かりやすく伝えたことで注目度が高まった。卒業生のつんく♂がプロデュースした入学式も話題だ。こういった改革が受験生に評価されている。

 2位は法政大だ。昨年5位で初めて志願者10万人超えを果たしたが、今年はさらに1万7000人も増えて過去最高の11万9206人となった。センター試験利用入試を、今年から新しく国際文化学部が実施した。受験生への認知が進んだ英語の外部試験利用入試でも志願者が増えた。

 英語の外部試験とは、英検やTOEFLなどの資格試験のことで、大学が設定する基準を超えていれば英語の試験を免除し、残り2科目で合否を決める方式だ。最近、多くの大学が導入するようになってきている。20年の大学入試改革でも、英語の試験で外部試験の成績を使うことが決まっている。その先取り入試になる。

 さらに、東京六大学初の女性トップである田中優子総長が保護者に人気ということも法政大人気を支えていると見られる。

小学校跡に東洋大が今春新設した赤羽台キャンパス「情報連携学部」(東京都北区)
駿河台キャンパスの法学部と商学部を中心に定員を大きく増やす明治大 (東京都千代田区)

 3位は早稲田大、4位は明治大、5位は日本大だ。6位の東洋大は夜間部を含めると初めての10万人超となった。昼間部だけで1万5378人も志願者が増えている。今年は国際、国際観光、オープンしたばかりの赤羽台キャンパスに情報連携の3学部を新設した。3学部を一度に新設するのは珍しい。いずれの学部も人気を集め、志願者が大きく伸びた。

 次に募集人員を見てみよう。これは一般入試だけのもの。今年は近畿大が920人の定員増を行った。その影響で一般入試の定員も667人増ともっとも多く増えている。次に中央大の459人増、東洋大の375人増、東京理科大の283人増だ。東洋大は3学部新設もあって定員を569人増やし、東京理科大も定員を325人増やしたことが影響している。

 募集人員を増やしている大学が多いが、志願者も大きく増えているため、志願倍率(志願者数÷募集人員)も、昨年に比べて上がっている大学が多い。

 トップは千葉工業大の54.6倍で、次いで近畿大の29.6倍、摂南大の27.2倍、法政大の27.1倍と続く。法政大は昨年の22.5倍から大きく伸びた。