第1志望が多い低合格倍率校狙い目は定員増の大学?

 合格倍率(合格者数÷募集人員)は、入試方式をたくさん設けていると、その方式ごとに合格者を出すため、当然ながら合格者が増えて高い数字になる。

 トップは千葉工業大の11.9倍、次に芝浦工業大の7倍、摂南大の6.3倍、立命館大の6倍と続いた。理工系大学の数字が高いのは、センター利用方式などで国公立大との併願者が多いこともある。国公立大に合格するとそちらに進学してしまうため、一般入試よりはるかに多く合格者を発表する。

 もっとも低いのが帝京大の2.3倍で、次いで慶應義塾大の2.4倍だ。また、この合格倍率が低いということは、第1志望での入学者が多いとも考えられる。合格者を多く発表しなくても、募集人員が確保できることになるからだ。帝京、慶應に続いて青山学院大、早稲田大が3倍を切っており、第1志望者が多いといえよう。

 今年の入試では、志願者が増え合格者が減ったことで、実質競争率(受験者数÷合格者数)もアップする大学が多かった。法政大が昨年の4.2倍から5.4倍に、早稲田大が5.6倍から6.7倍に、立教大が4.6倍から5.4倍に、青山学院大が6.2倍から7倍にアップしている。これだけ難化すると、敬遠の動きが出てくることも考えられる。

 ある教育関係者は「定員の厳格化で大都市圏の募集が厳しい大学が潤ったことは間違いないでしょうが、同時に人気大学の難化が進んだことも確かです。この難化によって、地方の受験生が大都市圏の大学は難しいからと受験を諦めれば、結果として地方創生の目的が果たされることになります」という。皮肉な結果だが、難しくなることで受けに来なくなるということだ。

 東京の大手大学は地方からの受験生の獲得に力を入れている。キャンパスの活性化には、いろいろな地域からの学生が一緒になって学ぶことが大切だからだ。これには留学生も含まれている。文科省の「学力の3要素」にも、「主体的に多様な人たちと協働で学ぶ」ことが謳われている。

 しかし、今年の早慶の合格者の1都3県(東京、埼玉、千葉、神奈川)の割合は7割を超えている。定員の厳格化で、ますます地元勢が増えていく可能性は高い。

 これほど厳しくなった入試だが朗報もある。次ページの表は定員増を申請している大学の一覧だ。