21世紀を生きる 子どもの育て方

文部科学大臣補佐官 鈴木 寛 特別インタビュー

これから数年間で、学校も入試もこんなに変わる!
21世紀を生きる子どもの育て方 【第2回】

著者・コラム紹介
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―学部新設等が認可事項だった頃とではだいぶ違う。今は学部をつくるのも届出で済むことも。

鈴木 ある旧帝大のリーダーが、通達を見て「文科省は何を考えているのですか、この新しい政策の意図は何ですか」と聞いてくる。「おたくのような名門大学は文科省など気にせず自分で考えてください」と答えると、鳩が豆鉄砲を食らったような表情になる。

―今の学長レベルの人は規制官庁だった頃の文科省を知っている人だから。

鈴木 しかも「文科省が言っている」というから、「文科省の誰が」と聞くと、係長が感想を漏らした程度のことだったりする。日本中が過剰な忖度社会になっているので、「こうは言っていない」ということを丁寧に確認しないと、勝手に、言われたことしかやってはいけないと解釈する。

 学問の自由、大学の自治は公務員試験でも出題されているのですが(笑)。僕はいつも言っているが、権力に対して、理系はこびすぎ、文系は逃げすぎ。両方とも改善すべき。

メディアリテラシーの欠如
TOK(知の理論)を学ぶ意味

―「権力」を勝手に作っちゃっている。

鈴木 まさにミッシェル・フーコーが言うように、権力を信じる主体の内部から機能する力として、その関係の中で「権力」が発生している。

 本当はいない権力者を自分たちで作り出してしまい、いないものに従う「権力者なき圧政」の状態になっている。原典(ネタ元)の確認を怠り、ウラ取りもせず勝手に忖度をまき散らすような、クリティカルシンキング(批判的思考)ができていない人材を今までの教育で輩出してしまった。だから、入試改革をしないといけない。

―「思考力・判断力・表現力」を伸ばすTOKを学ばないとまずいのでは。

鈴木 その通り。誰が、なんで、どういう背景で言ったのかを問うのはメディアリテラシーの基本です。どういう文脈(コンテクスト)で言っていたのか。単語だけ抜いて来て別の文脈にくっつけるようなことは一番やってはいけないこと。

TOK
Theory of Knowledge
国際バカロレア(IB)ディプロマプログラムのコアカリキュラム「知の理論」は、知識そのものの習得ではなく、批判的思考(クリティカルシンキング)により知について考え、知識の本質を探究していくアプローチ法。

―最近の新聞ですね(笑)。

鈴木 穴埋め問題しかしていないからそうなる。知識(ナレッジ)を文脈から切り離して(ノーコンテクスト)、年号と事象だけを暗記させるからそうなる。

歴史はシークエンス(順序)が重要です。時系列で物事が捉えられるよう歴史思考力教育をしていけば、こういう人材はいなくなる。

―TOKの話をすると、やっぱり教科が大切だと。教科の中にTOKを入れればいいだけの話なのですが。

鈴木 はい。教科を通してやっている先生はちゃんとやっています。この科目を通して何を獲得するかですから。研究には研究対象と研究手法がある。研究対象は一見世の中と無関係に思えても、研究手法は人材の能力向上に直結する。

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後藤健夫[教育ジャーナリスト&アクティビスト]

1961年愛知県生まれ。南山大学経済学部卒業後、河合塾に就職。独立後は、大学コンサルタントとして、有名大学などのAO入試の開発、入試分析・設計、情報センター設立等に関与、塾・高校の進学アドバイザーも。早稲田大学法科大学院設立に入試設計・募集担当として参加。Pearson Japan K.K 高等教育部門顧問。『セオリー・オブ・ナレッジ―世界が認めた「知の理論」』(ピアソンジャパン)を企画・出版。


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