家電量販店の特徴「薄利」「多売」を
経営指標で表わすとどうなる?

 固定費1つ取り上げても、従来の経営分析や管理会計では、家電量販店に対する解釈に窮することを理解していただけたであろう。

 次に、経営指標について見てみる。伝統的な経営分析や管理会計では、薄利多売の企業について、利ザヤ(売上高利益率)の薄さを、「総資産回転率」の高さで補う、と説明する。両者を組み合わせたものが、次の〔図表 5〕で示す総資産利益率(ROA:Return On Assets)になる。右辺の第1項が「薄利」であり、第2項が「多売」を表わしている。

 筆者オリジナルのSCP分析(タカダ式操業度分析)では、家電量販店の特徴として次の点を挙げる。

 〔図表 6〕に挙げた特徴を一発で説明するものとして、次の〔図表 7〕を示す。 

 〔図表 7〕は、〔図表 1〕の予算操業度売上高を100%と置いて青色の水平線で描き、他の売上高を百分率で表わしたものだ。〔図表 1〕の実際売上高は、〔図表 7〕では実際操業度率として描かれる。赤色の最大操業度率と、緑色の損益操業度率は便宜的に3社の単純平均としている。

 〔図表 7〕において、赤色の最大操業度率は、青色の予算操業度率(100%)よりも少し上に位置するだけだ。105%を超えることがない。これが「薄利」の特徴だ。

 3社の実際操業度率は、90%前後を推移している。これが「多売」の特徴だ。緑色の損益操業度率は70%~80%のところまで接近しており、少しでも気を抜くと赤字に転落する。取り扱う商品や製品に特徴がなく、値引き合戦を強いられている企業の場合、〔図表 7〕を参考にするといいだろう。

家電量販店の最重要時期は6月!?
クリスマス商戦は通年行事にすぎない

 〔図表 7〕の実際操業度率は、四半期移動平均で描いたものだ。次の〔図表 8〕で、ヤマダ電機の「四半期ごとの実際操業度率」を見てみよう。なお、〔図表 7〕や〔図表 8〕に関する具体的な作図方法については、拙著『会計&ファイナンスのための数学入門』を参照していただきたい。

 本コラムの冒頭で、クリスマス商戦の話を持ち出した。おそらく、読者のほとんどが、家電量販店では12月期に「季節変動の山」があると想像していたはずだ。しかし、それは、第69回コラムで紹介した任天堂のデータに引きずられている。ソフトメーカーである任天堂と、それを店頭で販売するヤマダ電機とでは異なる様相を見せる。

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家電エコポイントは投資活動を呼び起こさない?

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