〔図表 8〕からは、いくつかの特徴が浮かび上がる。1つめは、〔図表 1〕ではリーマン-ショックの影響が認められなかった。ところが〔図表 8〕では、08/12(08年12月期)のクリスマス商戦で惨敗を喫していたことがわかる。
2つめは、2009年5月から始まった家電エコポイント制度である。この制度がなければ、09/6(09年6月期)の四半期実際操業度率は80%を大幅に下回っていた可能性がある。制度さまさま、といったところだ。
3つめは、例年12月期のクリスマス商戦に、四半期実際操業度率が突出するわけではない点だ。第69回コラムで紹介した任天堂の〔図表3〕と見比べると一目瞭然である。任天堂にとって毎12月期は、季節変動の「山」が訪れる。
ところが、家電量販店の特徴は〔図表 8〕で赤色の楕円形が示すように、毎6月期に季節変動の「谷」を迎えることだ。クリスマス商戦は、家電量販店にとって通年行事に過ぎず、むしろ5月の大型連休明けから6月の梅雨どきまでを、如何に凌ぐかが重要になる。
4つめは、〔図表 8〕の右端に注目する。東日本大震災の影響の大きさを窺い知ることができる。水面下では相当に苦労していたということだ。
家電エコポイントは投資活動を呼び起こさない?
資金量理論で探る企業の「投資活動」
マクロ経済学では、国内総生産(GDP)を決定する要素として、消費と投資などを取り上げる(マンキュー経済学IIマクロ編/135ページ)。〔図表 8〕までは「消費」の面を扱ってきた。では、家電量販店の「投資」のほうはどうなっているのだろうか。それを調べたものが次の〔図表 9〕で示す「資金量理論」だ。ヤマダ電機のデータを利用している。

資金量理論は拙著『実践会計講座/戦略ファイナンス』第7章で紹介しているように、資金力(チカラ)で勝る大企業に対して、技術力(ワザ)で挑むベンチャー企業が生き残る確率を分析するものだ。小が大を飲み込む「全滅戦」も、資金量理論で説明できる。
もちろん、ライバル企業同士の優劣を判定する方法としても用いることができる。本連載では、第3回コラムで、ニッサンとホンダに資金量理論を適用して、両社の優劣を占った。
資金量理論は、ベンチャー企業やライバル企業同士を競わせる例にとどまらない。1社についても適用できる。すなわち、前年同月と比べて、当月の資金力(チカラ)や付加価値(ワザ)の優劣を判定することもできる。それを第7回コラムでは、ユニクロを展開するファーストリテイリングに適用した。
今回はヤマダ電機について、前年同月との比較で資金量理論を適用してみた。その結果が〔図表 9〕なのである。



