AI同士が会話する時代
映画の中にヒントがある
──なかなか思い付かないようなことを、次世代の通信環境の中でどのように形にしていくか。そのためには、常識の枠を外して考えるマインド、いわば「妄想力」が問われるような気もします。
久夛良木 おっしゃる通りです。次々に新しい話題が生まれるAIは、私の妄想を大いに刺激してくれます。2016年には「アルファ碁」が、囲碁の世界チャンピオンに勝ちました。おもしろいと思ったのは、アルファ碁の学習プロセスです。過去の膨大な棋譜を読み込むだけでなく、アルファ碁同士が対戦を重ねてどんどん強くなっていった。AIとAIなら、短い時間に何万回もの対戦を繰り返すことができます。
──AIとAIとのコミュニケーションですね。
久夛良木 ここから先は私の妄想ですが、株式や為替の取引、在庫管理、工場の生産管理といった分野ごとに、それぞれの専門性を持つAIが活用されています。これら専門分化したAIが分野の垣根を越えてつながれば、どのようなことが起きるでしょうか。例えば、気象AIが台風を予測して、農業AIにある種のレコメンデーションを行う。その情報を商品市況AIが活用して、ポジションの修正に役立てるという具合です。
──お二人は共に、かなりの映画好きと聞いています。映画を見ると、豊かな妄想に触れることができます。
阿佐美 実はさっき、「人工知能 映画」で検索してみました。『ターミネーター』や『マトリックス』など有名なSF映画がたくさん表示されます。未来を正確に予測している映画は少ないと思いますが、そのストーリーの中にはさまざまなヒントが埋もれています。
久夛良木 おそらく、シナリオライターは技術的な正確性はあまり気にせず、妄想をたくましくして楽しい物語を紡いでいるのでしょう。目先の技術にとらわれていないから、意外な発想からすごいアイデアを思い付くことができる。現在の映画やドラマが描く未来、その中の少なからぬ要素は近い将来に現実化するでしょう。
阿佐美 5年先と思っていたのに1年後に実現した──最近は、そんな経験をすることが少なくありません。世の中の変化が加速していることを実感しています。意外と早くやって来るかもしれない未来に備えて、当社としては5Gへの取り組みをいっそう強化していきたいと思っています。
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