経営者が難しければ
ミドルアップで変革を

 最後に、デジタルトランスフォーメーションは必ずしも経営者が率先しなければ起こせないわけではない、と言っておこう。

 私が支援している関西のある企業では、IT部門の部長が自身の裁量で、デジタル推進マネジャーに500万円の予算を与えている。その範囲内で変革に向けた研究を進めてきたが、ようやくその成果が役員会でも取り上げられるようになってきた。これが全社的な活動になれば、もっとスピードも上がっていくだろう。このようにミドルアップ的な活動でも、デジタルトランスフォーメーションが不可能なわけではない。

 もしあなたの会社の経営者がデジタルトランスフォーメーションに興味がなく、何も行動を起こさないのなら、誰かが手を上げる必要がある。10年後、15年後も生き残るために…。

(取材・文/河合起季 撮影/有光浩治)