モバイルツールの即時性やユーザーとの一体性は、マーケティングや広告に大きな変化をもたらし、多様なプレーヤーたちが次なる行動を起こし始めている。なかでもスマートフォンの登場はそれに拍車をかけ、関係業界からは大胆なモバイルマーケティングの将来像が提示されている。「ad:tech tokyo 2011」では、関連3分野から第一線のプレーヤーたちが日本発の先進事例を紹介した。
「モバイルマーケティングが変わった~日本発『先進事例と展望』~」より
・グーグル株式会社 モバイル広告営業部統括部長 香村竜一郎氏
・株式会社メディーバ ADプラットフォーム事業本部ADプラットフォーム企画部部長 野口龍彦氏
・パーティ クリエイティブディレクター・ファウンダー 清水幹太氏
■モデレータ
・株式会社宣伝会議 取締役 編集室長 田中理沙氏
スマートフォン自体が
新たなマーケティングツールに
モデレータの田中氏は、スマートフォン普及によるデジタルマーケティングの変化について、3人の登壇者それぞれに、マーケティング事業者、クリエイター、インターネット事業者の立場でそれぞれの意見を求めた。
ADプラットフォーム事業本部ADプラットフォーム企画部
部長 野口龍彦氏
メディーバの野口氏は、日本のモバイル保有数について3年後には約6000台になると予測。現状でも位置情報、動画コンテンツ、ソーシャルネットワーク(SNS)へのアクセス数は圧倒的にスマートフォンが多く、スマートフォンからSNSに入る人は約8割を超えていると述べ、「スマートフォン自体がユーザーやオーディエンスをどう捉まえていくか、どう見ていくかという時代に入ってきた。スマートフォン自体が新しいマーケティングツールになってきた」と指摘した。
加えて、従来型ターゲティングは、過去のデータの蓄積とその分析だったが、これからは、スマートフォンなどの活用で、ユーザーをリアルタイムに捉えていく必要があり、それがこれまでとまったく違う効果、新しいユーザーをつかまえることになると述べた。
クリエイティブディレクター・
ファウンダー 清水幹太氏
パーティの清水氏は、クリエイティブ・ディレクターの立場から、スマートフォン自体が「強いコミュニケーションツール」であると発言。スマートフォンは、身体的な動きに連動できるため、道具が体の一部となり、持ち主の意思を拡張する感覚器になってきていると指摘し、デジタルマーケティングが従来のメディアでは表現できなかった「持ち主の性格やキャラクターをより正確に出力する」ことができるツールであると、意見を述べた。
こうした機能により、ユーザーと広告主がより強いコミュニケーションで結ばれ、新しいシチュエーションに新しいモノを提供できる環境になってきた。ただ、これについては、広告だけでなく、他のコンテンツも対象になるので、全体的な見方をしないといけないと加えた。