また、「ユーザーに嫌われない広告」について、清水氏は、ユーザーへのアプローチ方法の難しさを挙げ、「ユーザー側が享受できる情報量には限界がある。さまざまシーンでユーザーニーズを考え、誠実にアプローチしていくことが不可欠」と述べた。

 たとえば、信号待ちをしているときの時間、空間のような「つまんない時間、やることのない時間、そういったところに入っていけるのがモバイル」だと言い、「ここに誠実にアプローチしていけば、金脈が見える」と提言する。

 この意見に野口氏も、ユーザーに嫌われず、媒体の価値を下げず、広告主の要求に応えていくように、コンテンツをうまくコントローすることが不可欠だ感想を述べた。グーグルの香村氏は、グーグルが提供する検索アプリケーションのリッチコンテンツについて説明。ユーザーにさまざまな体験をしてもらうことで、広告効果も狙えるアプローチ方法を紹介した。

ユーザーといかに「遊ぶか」が
これからのマーケティング

 最後に、「デジタルマーケティング、モバイルマーケティングで陥りがちな部分」について討議が行われた。

 清水氏は、マーケティングの精度が高まることは、一方で数字だけにとらわれすぎる危険性に言及。「いかにユーザーと共有できる部分で遊ぶが大事」だと述べる。技術や仕組みが進歩すれば、これまでツールの一つであったマーケティングの数字が、ツールにとどまらずユーザーの本質的な部分まで見せてくれるため、ビジネスの可能性はさらに広がると提言。

 田中氏は、消費者の情報に対する欲求、提供される情報量は今後も減ることはない、これからは提供する側がバランスを取って提供していくかがカギになると指摘した。

 野口氏は、バランスという点について、マーケティングを行う立場から「ユーザーといかに遊び、いかに近い世界をつくるか」ということがポイントだと述べた。

 香村氏は、「グーグルは常に、ユーザーが気持ちよく情報に接していける環境をつくることを考えている。モバイルは、そういった技術を凝縮したようなデバイスなので、さらに取り組みを増やしていきたい」と結んだ。

左から、宣伝会議・田中氏、パーティ・清水氏、メディーバ・野口氏、グーグル・香村氏

 (構成・文/宮口貴志)