テクノロジーとサイエンスで挑む「成長するマーケティング」の方法論トライオン株式会社 代表取締役社長
三木 雄信氏

トライオンの成長を支える
「すごいPDCA」

 続いて通信講座のポータルサイト、英会話教室など様々な学習サービスを提供するトライオンの三木雄信氏が登壇し、企業のマーケティングを成長させ、ビジネスを成長させるためのヒントを紹介した。

 三木氏はかつてソフトバンクに在籍し、孫正義社長の右腕として活躍した人物だ。『孫社長のむちゃぶりをすべて解決してきた すごいPDCA』の著者でもある。

「まず年始にその年に達成すべき大きなゴールを決める。そこから逆算して、ゴールの実現に必要なプロジェクトのスケジュールを決めていきます。プロジェクトを推進する全事業部の活動成果はBIを使って数値で見える化します。その数値を基に絶え間なくPDCAを回していくのです」と三木氏は説明する。現在の事業展開にも孫社長の“経営のイロハ”が色濃く反映されているという。それは「ゴール志向」「数値化」「すごいPDCA」で成り立つ。

 この中で特に重視しているのが「すごいPDCA」のフェーズだ。そしてPDCAの中でも「Do(実行)」のプロセスに重きを置くのがトライオン流だという。「PDCAサイクルは最初にPlan(計画)を立てますが、ここを細かく詰めすぎると行動が伴わなくなります。リーンスタートアップの手法に倣って、大きな目標やできることを計画し、まず行動に移すことを重視しています」と三木氏は語る。

 そのため、いくつもの「Do」が同時並行的に進行していく。それぞれについて「Check(評価)」と「Act(改善)」を繰り返し、Planに反映していく。PDCAではなく「DPCA」に近いという。それが「すごいPDCA」と言われる所以だ。

数値は「どうするか」に
役立てることが重要

 行動の評価に数値は欠かせないが、数値に振り回されるのは本末転倒だ。「数値は与えられるものではなく、自分で取りに行くもの。本当に必要な数値は自分で作り出すのです」と三木氏は訴える。

 数値を自分で作り出すことでモチベーションが上がる。仕事にも前向きに取り組めるようになる。その好例として、三木氏は知人の営業担当者の取り組みを紹介した。

 ノルマを達成できずに悩んでいた彼に、三木氏はこうアドバイスしたという。「いきなりノルマを上げることを考えずに、まずは1日3人の顧客と最低5分話をすることを考えよ」。目指すゴールを高く掲げずに、自分が無理なくできることにシフトさせたのである。

 最初は5分話すのも大変だったが、次第に話題も豊富になり、顧客リストの選び方や架電の時間も考えるようになった。半年後、彼は15人のチームの中で営業成績が2位に急浮上したという。

 数値に追われるのは辛いが、自分から取りに行けば向き合い方も変わる。「数値は結果を見るためのものと思われがちですが、『どうだったか』ではなく『どうするか』に役立てることが肝要です」と三木氏は主張する。

 「ゴール志向」「数値化」「すごいPDCA」はトライオンの成長の源泉だ。「この3つを柱に行動していけば、毎日がチャレンジの連続でワクワクするマーケティングが可能になります。人も企業も大きく成長していくでしょう」と三木氏は述べ、講演を締めくくった。