グローバル人財育成に活用されるTOEIC® Program

 ANAは16年、国際線定期便就航30周年を迎え、現在世界42都市に週約1100便が就航している。すでに国際線を利用する約半数は外国人旅客となっており、グローバル人財の育成と語学力の強化は、“お客様満足と価値創造で世界のリーディングエアライングループを目指す”同社にとって、必須の課題となっている。

「1999年のスターアライアンスの加盟を機に、当社のグローバル化は一気に加速しました。当然のことながら、アライアンスの中の言語は英語であり、その中で存在感を示していくためには、語学力はもちろん、異文化理解力、コミュニケーション力、交渉力などを備えたグローバル人財の育成が、急務となったのです」(佐々木副学長)

全日本空輸株式会社
人財戦略室 ANA人財大学 副学長
佐々木一彰氏

 ANAが求めるグローバル人財の定義とは、「世界とたたかい、よく知られ、愛される」人間であること。特に多様な価値観の中でもコミュニケーション能力が発揮できることが重視され、語学力はそのコミュニケーション能力の前提条件となる。そのためANAでは全社語学力目標を設定、そこで利用されているのが「TOEIC® Program」である。

 具体的には、地上職を対象に「TOEIC® Listening & Reading Test」(以下、TOEIC® L&R)730点以上の人数を一定数確保することを全社KPI(評価指標)の一つに掲げている。また、管理職登用試験の受験資格、一般職(非管理職)の昇格、国際線チーフパーサーをはじめとした客室乗務員の資格取得訓練投入にもそれぞれ高いレベルの点数要件が設定されている。

 この他、海外実務研修員制度や留学制度の公募などを通した海外派遣の拡大や、文化や価値観の違いを理解することに焦点を当てた「グローバルマインドセットセミナー」の展開、海外雇用社員と一緒に学ぶ階層別研修や、管理職層への選抜型短期集中プログラム、さらに英語力向上のための自己啓発型セミナー開催などの取り組みを行っている。