インターネットの進化やグローバル化で各分野のサービスも大きな変化を遂げており、旅行業界もその例にもれない。そんな中、楽天トラベルが、今年1月に開催した「楽天トラベル新春カンファレンス2018」で、サービス開始以来初となるサイトの全面リニューアルを発表した。日本のOTA(オンライン旅行会社)の先駆けとして20年余りの歴史を歩んできた同社の髙野芳行トラベル事業長に、OTAと旅の未来について聞いた。

シンプルで、わかりやすく便利
時代に合ったサービスに進化

新サイトでは、宿泊施設を決定したら、まず部屋を選択する

 楽天トラベルが今回のリニューアルでこだわったのは、「旅行者と宿泊施設のマッチングをいかに高めるか」という点だ。

「旅行者は自分の好みに合った宿を選びやすく、宿泊施設は自分たちの“売り”をより効率よくアピールして集客できるようになる予定です。そのため、予約の仕組み自体を今までのサイトとは大きく変えています」(髙野事業長) 

 近年、台頭してきた海外OTAでは、まずは部屋を選び、朝食などをオプションとして加えるのが一般的である。これに対し、これまで楽天トラベルは、ホテルや旅館などの宿泊施設の予約に関して、「オーシャンビューの部屋、夕食は海鮮フルコース、高級ブランドのアメニティ付き」といった「宿泊プラン」を提供する形式をとってきた。

食事やスパなどの「オプション」は、部屋を選んでから好みで追加する形式に

 新サイトでは、「部屋」を選んでから、食事やスパなどの「オプション」、割引きなどの「プローモーション」をそれぞれ選択して組み合わせるようになるという。

楽天
髙野芳行
執行役員
ライフ&レジャーカンパニー
トラベル事業長

「これにより、旅行者は好みに合ったサービスを過不足なく選べるようになりますし、宿泊施設は宿泊プラン全部ではなく、必要な部分だけを変更するようになるので、情報更新の手間が減ります」(髙野事業長)。

 宿泊施設にとって、オプションの予約状況を見ることで、客が実際にはどんな料理やサービスを求めているのかを知ることができるのも、これまでにない利点だ。

「パッケージ化した宿泊プランでは、宿泊客がどのサービスに魅力を感じてその商品を選んでいるのかが、具体的にわかりづらい場合がありました。サービスをオプション化すると、宿泊施設はその予約状況に基づいてマーケティング戦略も見直せるわけです」(髙野事業長)

 モバイルファースト、グローバル、そしてシンプルをキーワードにユーザーインターフェイスも進化する。「楽天トラベルのアクセスの約6割がスマートフォンから。これに対する最適化を図り、多言語対応のサイトに一新します。誰にでもわかりやすく、使いやすいユニバーサルデザインも採り入れる予定です」と髙野事業長は説明する。