こうした中で、NTTコミュニケーションズが提供しているのが、「Kakeibon(カケイボエヌ)ホワイトレーベル」だ。同社が提供するスマートフォン向け家計簿サービス「Kakeibon」をベースとした金融機関向けのASPサービスで、PFMサービスとしての機能をAPIを活用することにより自社ブランドで提供できる(図1)。

Fintechを味方につけるには?金融機関が個人との関係を強化するために図1 Kakeibonホワイトレーベルの概要
Kakeibonのプラットホームを論理的に分割し、複数の導入企業でセキュアに利用することができる。導入企業はマーケティング機能を活用することで、自社のサービスや商品の情報を最適な顧客に提供することが可能。各企業のユーザーは家計簿機能とアグリゲーション機能を使って簡単に家計管理を行うことができる。
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 多くの家計簿ソフトのコアとなっているのが、各銀行の口座やクレジットカード情報などのアカウント情報を一つにまとめられるアグリゲーション機能だ。実は同社ではすでに10年以上前からアグリゲーションサービスを提供している。「アグリゲーションサービスの提供を開始したのは2003年のことです。iPhoneのようなスマートフォンもまだなく、インターネットバンキングが利用され始めた頃です。さまざまなサイトにIDやパスワードを入力するのは大変だろう、ということでアグリゲーションサービスを始めました」と中野氏はサービス開始当初を振り返る。

 このアカウントアグリゲーションサービスは「Agurippa(アグリッパ)」と名付けられ、多くの金融機関や企業のシステムのフロントに組み込まれてきた。まさにPFMサービスの先駆者的存在といえる。「Agurippa」は、これまでに金融機関を中心に20社以上で利用され、現在も500万人以上のユーザーの情報を日々扱っている。前述した「Kakeibon」はこのサービスを個人向けにアレンジしたもので、ネット家計簿サービス「OCN家計簿」として2011年から提供されている。

「Agurippa」として14年、「Kakeibon」として6年の運用実績を背景に、2016年から提供を開始したのが、新たなPFMサービス「Kakeibonホワイトレーベル」なのである。

自社ブランドで提供できる
高レベルのセキュリティを確保

Kakeibonホワイトレーベル」は他のサービスとどう違うのか。中野氏は「最大の強みは安全性」だと語る。10年以上500万人規模の処理を支えてきたサービスのインフラは、FISC(金融情報システムセンター)のガイドラインに準拠したプライベートクラウド上で稼働し、その信頼性の高さはメガバンクのインフラに匹敵するという。

「当社のプライベートクラウドは、これまでも銀行や証券会社、カード会社に提供され、JISやFISCの規格に対応した、金融機関と同じレベルの監査を受けています」と中野氏。安全性が高いからこそ、金融機関が自社のブランドでサービスを提供することが可能だという。