「銀行が新しいことに対応しようとしても自行のシステムを変更するのは大変です。そうかと言って、他社の信頼できないサービスを利用して何かトラブルがあれば、信用に傷がつきます。銀行が自行のブランドでサービスを提供しているという実績は、当社のインフラの信頼性の高さの証でもあるのです」と中野氏は安全性が担保されていることのメリットを強調する。

Fintechを味方につけるには?金融機関が個人との関係を強化するために図2 多彩な機能を持つKakeibonの画面例
拡大画像表示

 しかも、「Kakeibonホワイトレーベル」は、すでに個人向けの家計簿ソフトとして豊富な実績を持つサービスだけに、提供されている機能も充実している(図2)。さらに、APIなどを通して幅広くパーソナルなデータを収集することができるアグリゲーション基盤としても活用できる。

 銀行としてはこうした信頼性の高いサービスを利用することで、利便性の高いサービスを安全に、素早く提供できるようになる。「この基盤を使ってさまざまなサービスを自由に開発できます。それを自行ブランドのサービスとして提供することで、個人向けのサービスの強化につなげてほしい」と中野氏はエールを送る。

AI技術を活用して
さらなる進化を続ける

 銀行と個人の関係を強化するツールとして「Kakeibonホワイトレーベル」を捉えたときにもう1点強調したいのが、データを分析してマーケティングに役立てるツールも提供されていることだ。集めたデータを、資産状況などに応じて分析できる。「自行の普通預金が10万円以下だが、他行の定期預金が100万円以上」「自行では投資信託を購入していないが、他の証券会社で株式投資をしている」といった情報も入手できる。

 しかも、クラスター分析という手法で匿名で分類されるので、個人を特定することはない。個人のプライバシーは守られたままで、分類されたクラスターごとに異なるマーケティングアプローチが可能になる。「ツールを使ってセグメントで分析して最適な通知を行うことで、マーケティング活動の面で高い成果が期待できます」と中野氏は語る。

 これをきっかけに、マーケティングオートメーションツールなどと連携させることで、さらにきめ細かいマーケティング活動もできるようになる。こうしたシステム面でのサポートは同社の得意分野であり、高度な支援が期待できるところだ。

 また、「Kakeibon」の機能自体も進化している。例えば、東京工業大学発のベンチャーが開発した人工知能「SOINN(ソイン)」という技術を使用し、節約術を自動でアドバイスする機能も提供されている。常に最新の技術を取り込み先進のサービスとして進化し続けているのである。

「金融機関を取り巻く環境はこれから劇的に変化していきます。今後も個人との結び付きを強化する価値のあるサービスを作り出していくパートナーとしてご期待いただきたい」と中野氏。同社の今後の取り組みが日本の金融機関をこれからも支えていくにちがいない。

※本文および図中の会社名、ロゴ、製品名などは、該当する各社の商標または登録商標です。