「個人の信用情報を入手する手段のない現在の日本では、売る側も買う側も、お互いに不安です。そのため、中古自動車販売会社に仲介を依頼することになります。もし、芝麻信用のような個人の信用情報を利用できる仕組みがあれば、中古自動車売買などのビジネスも大きく発展する可能性があります」とNTTコミュニケーションズでアプリケーション&コンテンツサービス部アプリケーションサービス部門第四グループ第四チーム担当課長を務める石井健太郎氏は指摘する。

 個人の信用情報(資産、キャッシュフロー、購買、決済、ローン、職歴、健康、SNSでの交友関係など)を明確化できれば、さまざまな分野で付加価値の高いサービス提供が可能になると期待されている。例えば、保険会社。走行距離に応じて保険料が変わる自動車保険が既に提供されているが、健康状態に応じて生命保険の料金を安くするといったサービスで実施されるスクリーニングもより効率的に行えるようになるだろう。そして、セグメント化された契約者のライフプランシミュレーションの精度を高めるといった使い方も可能になる。

 さらに「ネットショッピングをよく利用する人には、購買履歴に基づくおススメの商品だけでなく、資産状況などに応じて低金利のローンを提案すれば、自動車や住宅などの高額な商品にも関心を示すかもしれません。ビッグデータを活用して個人の傾向をよく知ることで、より適切なマーケティングが行えます」と、NTTコミュニケーションズの同チームで担当課長を務める川田英司氏はビッグデータによるビジネス拡大の可能性を説明する。