核家族化や少子高齢化が進むなか、ワークライフバランスを重視するホワイトカラーが増えている。また、業務の効率化や優秀な人材の確保と流出防止のため、社員のワークスタイルに幅を持たせる企業も増えてきた。働く側、企業側双方のそんなニーズを満たすツールとして注目されているのが、日本マイクロソフトの「Microsoft Lync(リンク)」だ。そこには、チームのメンバーがどこで働いていても生産性を維持できるさまざまな機能と工夫が盛り込まれている。
2011年3月の東日本大震災をきっかけに、BCP(事業継続計画)の観点から産業界で在宅勤務や出先からのテレワークを導入する機運が高まっている。一方で、少子高齢化が進み人口減少が始まっている現在、企業が優秀な人材を獲得、維持していくためにも、抜本的なワークスタイルの変革が不可欠になってきた。出産・育児や介護のためにそうした人材が会社を辞めざるをえない状況を、改めていかねばならないからだ。
とはいえ、場所や時間に過度に縛られる旧来のワークスタイルのままでは、オフィスのデスク以外の場所では生産性を維持できないため、持続的なワークスタイル変革は困難だ。
日本マイクロソフトでは、11年2月の本社移転に伴い、オフィスのムダを見直し効率化するとともに、ITをさらに有効活用することで、これらの課題に向き合ってきた。
場所を問わず
生産効率を維持する試み
同社が09年に行った自社内調査(下のグラフ参照)では、固定デスクの稼働率が最大でも40%程度しかなく、ムダな投資になっていたという。
米野宏明 Officeビジネス本部
サーバープロダクト
マーケティング部 エグゼクティブ
プロダクトマネージャ
「フリーアドレス制を導入することで、固定席へのムダな投資を削減しました。余裕のできたスペースは、フロアの随所に設置されたオープン会議エリアなどに活用することで、フェイス・トゥ・フェイスでのコミュニケーションの効率を上げています。結果、会議室の稼働率が下がり、会議を中心に1週間のスケジュールが決まるといった習慣が改められていきました」と、同社の米野宏明氏は語る。
さらに同調査では、社員が1日のうち平均40%程度の時間を社外で過ごしているという結果も出たが、なかでも席を離れる頻度の高い人ほど、社外での活動時間が長いことがわかった。
社内で働く環境を改善するだけでは十分ではないと考えた同社では、より質の高いITの活用でこの問題を解決しようという結論に至る。移動中、あるいは社内外のどこにいても、自席やオフィス内にいるのと同等の生産性を確保できる、そんなシステムを開発し自社でも活用を始めたのだ。