米国の景気拡大は戦後2番目の長さへ、近く後退の可能性はあるか

米国経済の行方を握る
財・労働・金融市場の需給関係

 皆さんこんにちは。三井住友アセットマネジメント調査部です。毎週土曜日に「ビジネスマン注目!来週の経済、ここがポイント」をお届けしています。

 米国経済の好調が続いていますが、景気拡大がこのまま4月末まで続くと、戦後2番目の長さになります。ということで今回は、米国経済の景気拡大の背景を取り上げます。

 2009年7月に始まった米国の景気拡大局面は、今年の 3月時点で8年9ヵ月になりました。現時点で、最長は1991年4月から01年3月までの10年、2番目は61年2月から69年12月までの8年10ヵ月となっています。

 米国における戦後の景気拡大局面は平均で約5年ですから、期間だけを見ると、米国はいつ景気後退局面に陥ってもおかしくないように思えます。金融政策においても、米連邦準備制度理事会(FRB)は、緩和の解除に踏み切りました。果たして、米国経済が近く後退に陥る可能性はあるのでしょうか。

 景気後退とは、労働市場や財市場、金融市場で生じた「需要と供給の不均衡を調整する局面」と捉えることができます。裏を返せば、需給に不均衡が生じていなければ、景気後退に陥る公算は小さいと考えられます。そこで、「財」「労働」「金融」の3つの市場における需給の動向を検証してみます。

 まず、「財市場」から見てみましょう。

 財市場の需給動向は、出荷数量を在庫数量で割った「在庫率」の動きで判断できます。企業は需要の変動に対応するため、ある程度の在庫を保有しておく必要がありますが、需要に対して在庫が多すぎると、生産を落とさなければなりません。それに伴い、雇用も減らす必要があります。在庫が積み上がりすぎると、この調整が大きくなり、景気後退に陥る可能性も高まります。

 直近の米国の在庫率を見ると、17年12月末時点で1.40でした。もっとも、これだけでは在庫の過多は判断できません。そこで、計量的手法(HPフィルター)を用いて、需給が一致している時の均衡在庫率を算出すると1.43となりました。つまり、直近の在庫率は、均衡値を下回っていることになります。

 産業セクター別の在庫率も、製造業が均衡率1.64に対し、実績値が1.61、卸売業が均衡率1.33に対し実績値1.30、小売業が同1.30に対し、1.28です。どのセクターでも過剰な在庫は積み上がっていない、それどころか足元の在庫水準は需要に比して過小なことが見て取れます。となると、米国では生産拡大、在庫積み増しの余地が、まだ大きいといえるでしょう。