大型買収、国境や系列を超えた提携、
主力事業からの撤退などが活発化
皆さん、こんにちは。三井住友アセットマネジメント調査部です。毎週土曜日に「ビジネスマン注目!来週の経済、ここがポイント」をお届けしています。
海外企業では、携帯電話市場で圧倒的なトップシェアを誇っていたノキアがスマートフォンへの対応に遅れると、主力事業である携帯電話端末事業を売却するなど、事業再編が経営戦略の根幹の一つとなっています。
一方、国内企業は中長期的な視点から、各種事業を抱え続け、再編の対象になるのは主に赤字事業にとどまっていました。ただ今年は、社運を賭けた大型買収、国境や系列を超えた提携、かつての主力事業からの撤退などが増加しています。こうしたことから日本企業にとって今年は特筆すべき年となり、株式市場の関心も高まっています。
背景には従来ほど経済の高成長が期待できないことや海外企業との競争が激化したこと、技術革新により商品のライフサイクルが短期化したこと、物言う株主など投資家からの企業価値向上に対する要求が強まったことなどがあります。政府は昨年4月から事業を切り離した場合には税金がかからない「スピンオフ税制」を導入して事業再編を後押ししています。
そこで今回は、特に市場へ強いインパクトを与えた事業再編の事例を振り返ると同時に、来年の展開について見ていきたいと思います。
武田薬品工業、ルネサスエレクトロニクスなどが
社運を賭けた大型買収を実施
今年は日本企業でも、規模の拡大、海外開拓、新技術などを狙い、社運を賭けた大型買収に踏み切る事例がみられました。過去の企業買収を見ると必ずしも成功確率が高いとは言えませんが、海外企業が合併や企業買収などを通じて企業規模を拡大していく中、対抗手段として買収に踏み切る企業は今後も増加すると考えられます。
株式市場の関心は高く、本業との補完効果はあるか、買収後は投資に見合う利益を長期的に生み出せるか、買収価格は適正かなどに注目が集まっています。今年、こうした動きをした企業には武田薬品工業、ルネサスエレクトロニクス、カルソニックカンセイなどがあります。