3月8日、鉄鋼とアルミニウムの輸入関税を課す大統領令に署名したトランプ大統領 Photo:ユニフォトプレス

 米国のトランプ大統領は3月8日、鉄鋼とアルミニウムの輸入関税を課す大統領令に署名、実質的な「輸入制限」を決定した。それに対し、各国は報復関税などを検討しており、「貿易戦争」が勃発しそうな気配である。

 これに対し、識者からは「世界貿易が縮小するのは世界経済にとって好ましくない」「輸入制限は米国自身のためにならない」といった批判的なコメントが発せられている。確かにそうした議論も必要だが、今回はあえて利己的に、日本経済と日本人への影響に限定して考えてみたい。

米が輸入制限を実施しても
日本の受ける被害は限定的

 日本は、かなり昔から対米貿易摩擦に悩まされてきたこともあって、十分な“免疫力”を備えており、かつては日本の主要輸出品であった鉄鋼も、対米輸出は昨年1年間でわずか2000億円にとどまっている。アルミニウムも、幸か不幸か日本の比較劣位な産業なので、ほとんど輸出されていない。そういう意味で、輸入制限の直接の影響はあまりないといえる。

 多数の現地生産工場を持っている自動車メーカーなど、日本企業の在米子会社を持っている企業はどうだろうか。そうした在米子会社はあくまで米国企業であり、失業するとしても米国人労働者なので、これも日本経済にはあまり影響がないと言える。