政府封鎖や株価大幅下落を
既に乗り越えた米国
皆さんこんにちは。三井住友アセットマネジメント調査部です。毎週土曜日に「ビジネスマン注目!来週の経済、ここがポイント」をお届けしています。
米経済が、好調を維持しています。1月下旬には予算をめぐって議会で与野党が対立し、一時的な政府閉鎖があったり、金融市場では長期金利の上昇を受けて株式市場は一時大幅に下落したりしました。しかし、株式市場は既に下落の半分を埋めるまでに反発しており、経済も1~3月期GDPはアトランタ連銀によると、前期比年率で3.2%増が見込まれています(2月16日現在)。
来週は、パウエル新米連邦準備制度理事会(FRB)議長が行う初めての議会証言や、個人所得・支出、個人消費支出物価データなど、今後の米経済や金融政策運営を占う上で重要なイベントが予定されているので、今回はこれらの話題を取り上げます。
パウエルFRB新議長は、イエレン前議長の後を継いで2月5日に就任式を行いました。引き続き利上げやバランスシートの縮小といった金融政策の正常化を進めていくと見られますが、その運営もイエレン前議長にならい、市場との対話を重視して、慎重にゆっくりと行うものと考えられます。
ただ、ここで一つ注意しておきたいことがあります。慎重なことに変わりはないのですが、過去の経験則ではFRB議長が交代すると、その後、金融市場で動揺が起こるということです。
例えば、1979年8月から議長を務めたポール・ボルカーは、就任直後から積極的な金融引き締めを行い、その結果、米株が短期間のうちに10%も調整する事態が発生しました(ボルカー・ショック)。87年8月から議長を務めたアラン・グリーンスパンの時は、11月にブラックマンデーが起こりました。2006年2月に議長に就任したベン・バーナンキ時代には、2年後にリーマン危機が発生しました。
これらは、その時々の経済・金融環境がたまたま金融市場にとって向かい風的な状況だったということもありますが、金融市場は“分からないこと”を極端に恐れ、嫌がるという習性があり、それも大きく作用していると思われます。