時代の変化に備えて
全てのデータを保存する

 変化に対応していくには、何よりもスピードが大切である。一般に、高度な安定性や信頼性が要求されるシステムは、構想から設計・開発に至るまでの期間が長い。開発を進めているうちに技術や市場ニーズが大きく変化し、稼働時にはシステムの設計思想や技術が陳腐化してしまう可能性もある。

「今の時代は、3年先の技術やニーズがどうなっているのかも読めないほど目まぐるしく変化しています。すぐに開発してサービスを世の中に出し、だめなら作り直す。この繰り返しの回転を速くすることが重要だと思います」(宮本氏)

 また宮本氏は、「激しい変化に対応するには、データベースの構築についても従来の考え方を見直す必要があります。今は不要だと思って捨てているデータが、時代の変化によって3年後に思わぬ〝宝の山〟となる可能性もあるからです」と語る。

 かつてはデータ保存に多額の費用がかかり、保存量などの制約も大きかったので、データベースを構築する際には、極力不要な項目を取り除いていた。

 しかし、「現在のコンピュータの性能なら、顧客の購買履歴や行動履歴などのありとあらゆるデータを全て保存しておくことが可能です。データベースに制約を設けることなく、変化に応じて欲しいデータがいつでも使えるようにしておくことが望ましいといえます」(宮本氏)