APIの公開化を
いち早く実現

 しかし、こうしたサービスに応用できるテクノロジーを、個々の金融機関が独自に開発するには限界がある。近年、金融機関がフィンテック企業と協業する事例が増えているのは、そのためだ。

 NTTデータは2017年9月に、金融機関とフィンテック企業との協業を促し、オープンイノベーションを創発するためのクラウド基盤サービス「OpenCanvas」(オープンキャンバス)を提供開始した。

 名称の通り、金融機関とフィンテック企業が互いの知見や技術、情報をオープンに共有して、新しい金融サービスを描いていくための基盤だ。

 八木原氏はこの基盤のメリットについて、「基盤の上に公開されたAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を共有することで、金融機関は今まで以上に早くフィンテック企業の技術を取り入れ、顧客ニーズの変化に柔軟に対応できるようになります。一方、フィンテック企業は、自社の技術やアイデアをより多くの金融機関に提供しやすくなります」と説明する。

 APIの公開については、2017年5月に成立した改正銀行法で金融機関に努力義務が課されることになった。これに対し、「当社は法令化される以前から、APIのオープン化を支援する準備を進めてきました。その意味でOpenCanvasは、時代の要請にいち早く応えたサービスだといえます」と八木原氏は語る。