ROI(投資対効果)が高いといわれるAI(人工知能)やロボットの導入。数年前から業務の一部にこれらを活用する企業も増えてきた。2017年1月から大規模なRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の導入を進める三井住友フィナンシャルグループでは、当初の想定を超える効果に大きな手応えを感じているという。その取り組みから、業務改革や生産性向上につながる可能性を探った。

圧倒的な生産性向上の実現に向けて

業務改革室 副室長 山本 慶三井住友フィナンシャルグループ
企画部 業務改革室 副室長
三井住友銀行
経営企画部
業務改革室 副室長
山本 慶

 三井住友フィナンシャルグループは2017年度よりスタートした中期経営計画の基本方針の一つとして、「DISCIPLINEを重視した事業展開」を掲げており、主要施策である生産性向上・効率化を推進する部署として、企画部内に業務改革室を設置した。

 同社は、三大メガバンクの中でも経費率が低く、効率化が進んでいるとの評価を受けているが、さらなる生産性向上のための起爆剤として、RPAを活用することを選択した。

 同室副室長の山本慶氏は、「圧倒的な生産性向上を実現していくためには、頑張れといった精神論ではなく、従業員に『使える』と思ってもらえる具体的なツールが必要でした」と語る。

 RPAとは、人がパソコンで行うエクセルやワードなどの事務処理を、パソコンにインストールされた仮想ロボットが人間の数倍ものスピードであらかじめ指定された手順通りに代行する仕組みをいう。

 同社は、まず三井住友銀行の大規模導入から取り組みを開始。数社の製品を検討した結果、従業員自らが簡単に開発できるデスクトップ型と、24時間365日、大規模処理が可能なサーバー型を共存させることで、高いユーザビリティーとスケーラビリティーを実現できるUiPath(ユーアイパス)の製品を選んだ。

 また、迅速な導入・開発、ガバナンスコントロール、セキュリティー対策などを実現するために、グローバルベースで質の高いノウハウ・知見を多く持つEYアドバイザリー・アンド・コンサルティング(以下、EYACC)をパートナーに選んだ。