EYACCで同行のRPA導入プロジェクトを担当する髙橋正志氏は、「RPAは、大規模な組織のレガシーシステムで、手作業でシステム間をつなぐ必要があるような場合に大きな導入効果を発揮します。三井住友銀行さまでは、高いセキュリティー要件やロボットのガバナンスを要求される一方で、従業員自らが試行錯誤できる環境を構築する必要があったため、大変難易度が高いプロジェクトとなっていますが、EYACCの知見を活用し、順調に進んでいます」と話す。

RPAを“トリガー”にして業務の新陳代謝を促進

二つのアプローチでRPAの実装を実現

髙橋 正志髙橋 正志
EYアドバイザリー・アンド・コンサルティング
フィナンシャルサービス パフォーマンス・インプルーブメント リーダー
パートナー

 三井住友銀行のRPA導入は、トップダウンアプローチとボトムアップアプローチの両面からその効果を最大限刈り取れるようにさまざまな施策と組み合わせて進めている。

 具体的には、業務選定であれば、業務に精通している現場がオーナーシップを持って、「改善したい」というニーズを発信し、そのニーズに対して、経営トップのコミットメントを得ながら、グローバルにノウハウ・知識を多く持つ外部コンサルファームが英知を結集して、現場のニーズを実現していく、まさに現場目線で取り組んでいる。

 開発の局面では、大規模な業務に対しては、銀行のシステム環境に適合するRPAの実装ノウハウをベストプラクティスとして素早く外部コンサルファームの開発メンバーで共有するとともに、障害やエラーハンドリングなどの経験もシェアし、精度の高い安定したRPAの実装をスピーディーに実現している。

 一方、現場で業務を一番理解している従業員による中・小規模のRPA実装にも積極的に取り組んでいる。

 もともとエクセルマクロやアクセスなどを使いこなすITリテラシーの高い従業員に対して、実際の業務の中でコンサルタントがサポートしながら実装するOJT方式と、RPAを使ってみたいという思いを持った従業員に、業務上必要となる実装知識をしっかりと学んでもらってから、実装するという研修方式の2パターンを整備している。実際に、RPAを開発した従業員は、今後の保守・改良などを自ら行えるスキルも身に付けることができる。

「RPAに仕事を奪われるのではなく、RPAの特性を踏まえ、仕事を任せて管理することで自らのパフォーマンスを高めることができる。『RPAによる代替ではなく、RPAとの協業へ』と意識を変え、新しい働き方や価値観を醸成するためのさまざまな情報宣伝活動にも力を入れています」(山本氏)