「総務」「人事」と呼ばれないバックオフィス部門

「超効率的バックオフィス部門」の作り方freee
メンバーサクセスグループ
古塚大輔マネージャー

 こうした従来の間接部門、いわゆる「バックオフィス部門」の在り方を根本から見直し、「売上げを食いつぶすコストセンター」ではなく「売上げを守り、新たな価値に転換する部門」として再定義しているのがクラウド型のバックオフィスサービスを開発・販売しているfreeeだ。

 同社には、総務、人事、経理といった部署名が存在しない。バックオフィス部門は「メンバーサクセスチーム」と「経営ナビゲーターチーム」と呼ばれる2部門で構成される。

 メンバーサクセスチームは、一般で言う総務、人事、管理部、経営ナビゲーターチームは一般で言う経理部だ。

 メンバーサクセスチームを率いる同社メンバーサクセスグループマネジャーの古塚大輔氏は「経営者は会社を今より発展させたいと考えるなら、バックオフィスこそ、手を付けるべき部門だと思います」と語る。

「直接部門が生み出した売上げなどの価値を、新たな価値に発展させるのがバックオフィス部門、というのが我々の考え方。そのために、人材の価値を上げること、組織を良くすることを徹底的に考えて実行するのがミッション。管理業務がメインではありません」

 何よりその名称が、ミッションを表している。“メンバー(従業員)”を“サクセス”に導くのがメンバーサクセスチームのメイン業務だ。

 では具体的にどのような取り組みを行なっているのか。「特に注力しているのが、社内に共通の価値基準を浸透させることと、すべてのメンバーの着実な成長、コミュニケーションによるメンバー間の関係性の強化です。そのために、たとえば、“サクセスアワー”を週1回ペースで開催していますが、これはいわゆる人事や産業医面談。一般的なものと違うのは、メンバーは飛び込みでいつでも相談できること、さらに産業医の先生は人生相談まで受けてくれるような方です。そういう人を探してスカウトしました。他にも様々な親睦会など、一見すると他社にもありがちな取り組みと思われそうですが、魂の込め方は全く違うと自負しています」(古塚氏)

 こうした“魂のこもった”人材・組織作りの業務に集中できるのは「日々のルーチンな作業に煩わされていないから」(同)だという。

 メンバーサクセスチームも一般的な総務・人事のように管理業務を抱えている。だが、それが極めて効率化され、省力化されているため、会社全体を見渡す時間的・精神的余裕が生まれ、直接部門との分断・対立を防いで連携し、社内におけるビジョンの共有を浸透させたりすることに注力できるのだという。

「超効率的バックオフィス部門」の作り方