サントリーがこだわる“理想の泡”とは?

 ザ・プレミアム・モルツが急伸した背景には、ビールの泡に着目した「『神泡。』(かみあわ)プロモーション」がある。神泡とは、ザ・プレミアム・モルツならではの素材・製法のこだわりに加えて、注ぎ方にまでこだわることで実現したきめ細かくクリーミーな泡のことを言う。醸造家の丸橋太一氏(サントリービール商品開発研究部開発主幹)は、「クリーミーできめ細やかでシルクのように美しい泡。飲み進めてもなかなか崩れず、飲み干したときにグラスにレースのように残っている、そんな泡を理想としています」と語る。

  「泡はビールの履歴書」とも言われるように、素材はもちろん、仕込み、発酵、貯酒、濾過といった醸造工程の条件が泡の出来に影響する。良質な泡には、香りやコク、苦みといった、ビールのすべてが凝縮されている。サントリーでは、ビール事業を始めた1963年から、素材や製法にこだわるのと同様に、“泡品質”を追い求め続けてきた。

  きめ細かくて泡もちが良い――。この神泡を体感してもらうのが、プロモーションの狙いだ。

  「神泡。」プロモーションは、飲食店向け・家庭向けの両面で展開された。

 まずは、飲食店向け。サントリーは1月から、毎日機材を洗浄するなど厳格な基準を満たし、独自に開発したオリジナルノズルを付けたビールサーバーを使用した神泡品質で提供する飲食店を、前年の約3倍となる約35,000店に拡大すべく活動を展開している。2018年3月末時点で、はやくも26,000店に達している。

 そして、家庭向けでは、3月19日から“神泡体感キット”を投入した。通常製品(3缶・6缶・24缶)に、クリーミーな泡を生み出す「神泡サーバー」(手動と電動の2タイプ)と、泡もちを向上させた専用グラスをセットにして販売。この1年間で約300万個の神泡サーバーを投入する予定だ。

約1,000店舗で実施した実演販売で好評を博した。また、自宅や飲食店で神泡のプレモルを飲んだ感想をツイッターやインスタグラムで投稿するキャンペーンを実施し、グラスに注がれた神泡の写真は、瞬く間に拡散された。「神泡サーバー」電動式(下左)と手動式(下右)

 プロモーションの成果は、冒頭記したとおり。ザ・プレミアム・モルツはプロモーションが本格化した3月下旬から大きな伸びを達成した。同社のデータによると、神泡体感キットを使用した人のうち9割が「今後も神泡サーバーを使ってプレモルを飲みたい」と回答するなど、ユーザーからの反響も非常に大きかったようだ。