AIの活用によって営業の現場も大きく変わる可能性は高い。しかし、どう変わっていくのかという具体的な展望はなかなか見えてこない。こうした中、NIコンサルティングは「AI秘書」による営業現場の支援に取り組んでいる。同社の考えるAI活用とはどのようなことなのか、それによって何が可能になるのだろうか。

長尾一洋
NIコンサルティング 代表取締役

「AIの活用は具体的な分野に絞ることで、より早く効果を実感できます」と語るのは、営業支援システム「Sales Force Assistant」を提供するNIコンサルティング代表取締役の長尾一洋氏。1998年から営業支援システムを提供し、2016年にはAIを活用した「AI秘書」を組み込んだ。

 同社のソリューションの特徴は、現場の営業マンの活動を支援する機能に主軸を置いている点にある。AIが進化しても、営業活動の主役は営業マンだ。長尾氏は「営業マンが気持ち良くお客さまの所に行くことが大事。“AIに指示されたから”ではクリエーティビティーは低下します」と指摘する。

 そもそも、SFA(Sales Force Automation)の使い方に関しても、日本では“管理”が重視されがちだ。ややもすれば、営業マンがサボっていないかを監視するシステムになりかねない。

 「誰でも監視されるのは嫌がります。節度のある使い方をしないと、営業マンはやる気をなくしたり、監視の目をごまかすことを考えるようになります。AIの活用も同じです」

 そこで大事になるのが、“フィードフォワード”という考え方だ。今後の動きを示唆することで営業マンを支援する。具体的には、スケジュールを通知したり、事前準備をアシストしたり、抜け漏れを防止するなどだ。過去の商談内容を学習して状況を判断し、次のアクションを示唆する機能もある(図1)。

営業マンが入力した商談情報や見積書などを「AI秘書」がチェックし、抜け漏れや誤りなどにアラートを出してくれる