忙しいときに食事が適当になっても、
長い目で見て健康が維持できればいい
そんな山本さんも、フレンチレストランで修行中の20代のとき、寝不足がたたって、ランニングしながら(!)職場に向かう途中に、心臓発作を起こして倒れたことがあるそうです。料理人に限らず、働く時間が深夜帯であったり、睡眠時間がなかなか取れなかったりという方はたくさんいらっしゃいます。そうした方々が健康でいられるにはどうすればいいのか、ご自身の経験も含めて伺いました。
「仕事は生きていくベースにあるもの。だからといって、その仕事をする上で無理をしてはいけません。自分の中でリズムや規則(何時までに寝る、何時までに夕食を終わらせる、など)を作った方がいいと思うし、何より、寝る直前に食事をしないというのは大事だと思います。食べたものを消化してから身体が休まるから、寝る直前に食べているようでは回復もできません」
でも、「みんなそれぞれに忙しくて、綺麗なものだけを食べることなんてできないよね」と優しく言葉を続けます。そして、忙しさのあまり、口にできるのはコンビニのおにぎりひとつかもしれないときでも、「適当に済ませた」と思うのではなく、「このおにぎりのおかげで今日も持ったな」という気持ちが大事だといいます。
忙しさのあまり思い通りに行動できないときでも、自分に優しい声かけをすることが、投げやりにならず、長い目で見て健康を維持できることにもつながるのかもしれません。
実は、山本さん、この1年ほど、保育園の調理場で、専門学校を出たばかりの栄養士さんたちの下で働いていたそう。
「原点に帰って料理をしたいと思ったのです。フォアグラみたいな高級な食材を扱うよりも、ここで礎(いしずえ)を作りたいと。離乳食やアレルギー食を作る中で、もっと優しい料理が作れるようになった気がします」
お土産にといただいた山本さんお手製のチーズケーキは、どこまでも滑らかで、“優しい味”そのものでした。
(栄養士・食事カウンセラー 笠井奈津子)



