日本のアフィリエイトのパイオニア、バリューコマースの業績が好調だ。2017年12月期は営業利益が前期比140.9%と過去最高を記録した。こうした中、同社は新しい企業理念「ともに拓(ひら)く」を発表。なぜこのタイミングで企業理念の変更に踏み切ったのか。そこに込められた想いや狙いを、社員への浸透策などとともに、香川仁代表取締役社長に聞いた。

香川 仁(かがわ・じん)
バリューコマース
代表取締役社長・最高経営責任者
1991年アイダエンジニアリング入社。その後日刊工業新聞社を経て、2003年にヤフー入社。広告本部商品企画部長、広告サポート部長、事業推進本部リサーチアナリシス部長を歴任後、12年にクロコス取締役。13年にバリューコマース取締役・副社長執行役員。14年1月より、同社代表取締役社長・最高経営責任者に就任。

──直近の第1四半期(1~3月)も売上高・営業利益ともに過去最高と、引き続き好業績を維持しています。

香川 弊社の二つの事業、アフィリエイト(成果報酬型広告)と、ヤフー・ショッピング向けのECソリューション事業が共に堅調です。

 まず、アフィリエイト市場が高い成長率で伸びているのが追い風。EC市場の拡大に伴い、引き続き高成長が予想されています。

 そして、ECソリューション事業では、弊社の強みであるヤフーとの協業体制を生かしたCRMツール「ストアーズ・アールエイト」が好調で、利益をけん引しています。

 これは、顧客データを分析しヤフー・ショッピング上でクーポン配信などをするサービスですが、一般的なユーザーの行動履歴・購買情報だけでなく興味関心の部分など、さまざまなデータを使った分析が可能。このノウハウを、ヤフー・ショッピングのクオリティー向上だけでなく、アフィリエイト事業にも今後活用していきたい。

 創業以来、アフィリエイトのパイオニアとして「(売りたい人と買いたい人を)正しくつなぐ」という信条の下、お客さまのブランド価値をしっかりと守ってきたことが実を結んでいると思います。

自らの殻を破りさらなる成長を目指す

──今回、なぜ企業理念の変更に踏み切ったのでしょうか。

香川 昨年、原点に立ち返り、柱となる事業を前述の二つに整理しました。目指すのは、さらなる成長です。

 今のように環境の変化が速い時代、成長を続けるにはこれまでの延長線上ではなく、自らの殻を破って進化していくことが不可欠。そのチャレンジ精神をいま一度組織に根付かせるには、新しいメッセージが必要と考えました。

 また、このところ売上高が業界2~3位に甘んじていますが、もう一度トップを奪還した上で事業領域も広げていきたい。そこで、来年の設立20周年を控え、節目に先立ち「ともに拓く」を新たな企業理念に掲げたというわけです。