水道水や天然水など、さまざまな飲料水があるが、アルカリイオン水(還元水素水や電解水素水とも言う)は胃腸症状の改善に効果を示すことが国によって認められている。何かとストレスをためがちな現代人とアルカリイオン水の新たな付き合い方について、識者に語ってもらった。

されどわれらの水
水の不思議さと可能性

堀田国元
一般財団法人
機能水研究振興財団
理事長
吉川敏一
公益財団法人
ルイ・パストゥール医学研究センター 理事長
京都府立医科大学 前学長

堀田 水は100度で沸騰しますが、常温でも蒸発します。そして、氷は室温でもつくることができるのです。水はありふれた存在ですが、実に不思議です。

吉川 水はイオンの様相だけでなく、硬水・軟水の違い、含まれるミネラルの成分など、それぞれ違います。お話の通り、なぜ常温で水蒸気になるのか、なぜ表面張力が大きいのかなども、実はまだはっきりとは解明されていないのです。

──水に「正しい飲み方」は、ありますか?

堀田 世間には「水をたくさん飲むべき」という話もあれば、「水はあまり飲まないほうが良い」という話もあります。極端ではなく、標準的な量で、良い水を飲むといいですね。

吉川 医学的には「出したら飲む」ということに尽きます。成人の1日に排出される水分量は、1.5〜2.5リットルなので、摂取量(飲料水+食事中の水分+体内で生成される水分)も同等であればいいわけです。ただし、加齢とともにセンサーが働きにくくなります。

 夏になると、お年寄りの熱中症や脱水症状による事故が報じられますよね。水分不足は脳梗塞などのリスクも高くなります。70代になったら水分を取ることを意識し、計量的に飲んだほうがいいですね。

 現役世代は、単純に言えば喉が渇いたら飲めばいい、という話なのですが、水が人間に与える影響は複雑で、同時に興味深いものです。精神的な状態も関係してきます。緊張やストレスで下痢や腹痛が起こってきますよね。これはもしかしたら腸内細菌と関係があるかもしれません。

 最近、「腸内フローラ」という言葉をよくお聞きになると思いますが、ゲノム解析の進歩によって、人体の中で腸内細菌がどのような働きをしているのかが、遺伝子レベルで明らかになりつつあります。